住民500人参加
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の重大事故を想定した原子力防災訓練が11月30日にあり、糸島市の住民約500人や関係機関から計約1,380人が参加した。能登半島地震で道路が寸断し、孤立集落が相次いで発生したことを受け、損壊した避難道路の補修やヘリコプターによる物資輸送などの訓練を初めて行った。
糸島市は、原発から30キロ圏の「緊急防護措置区域(UPZ)」に県内で唯一市域が含まれている。「原子力災害対策特別措置法」などでは原発災害時、住民は屋内退避し、状況により国の指示でUPZ圏外へ避難することになっている。
この日は、佐賀県で地震が起き、玄海原発から放射性物質が外部に放出されたと想定。志摩の久家行政区19人と二丈の片山行政区20人は、バスや自家用車で福岡市内へ避難する行程を実際に確認した。
また、早期に緊急車両の通行を確保するため、ガードレールや放置車両をクレーン車で撤去する訓練を行った。能登では橋と道路の段差が多く発生したことから、土のうを敷き詰めてゴムマットを設置する応急処置の手順を確認した。孤立した集落からヘリで住民とペットを避難させる訓練もあった。
月形祐二市長は訓練後、「今後も国・県・関係機関などと連携協力し、繰り返し訓練を継続することで、原子力防災対策の実効性を高めていきたい」と話した。