【糸島市】糸島に九州最大級データセンター

月形市長「持続可能なまちづくりにつながる」

米不動産投資・開発会社が建設

 米不動産投資・開発のアジア・パシフィック・ランド(APL)グループの日本法人(東京)が、糸島市の前原インターチェンジ南東(同市多久、富)に九州最大級のデータセンター拠点「糸島デジタルインフラパーク」の建設を計画している。区域全体の投資額は3,000億円を超える見込み。5日、同法人の高原義宣代表と月形祐二市長が県庁を訪れ、服部誠太郎知事に状況報告を行った。

服部知事(中央)に報告を行った高原代表(左)と月形市長

 データセンター(DC)とは、インターネットを介してデータ処理や管理を行う高速な計算機器(サーバー)などを備えた施設。近年、デジタル機器の普及や車の自動運転、生成AIの開発などが進んでおり、膨大なデータの処理を行うDCの重要性が高まっている。

 国内の約8割が東京と大阪に集中しているDCが地震などで被災した場合、広範囲にわたるサービス停止やデータ消失などの深刻な被害が発生する可能性があり、またデータ量の増加への対応やDCへの電力供給の観点などから、国はリスクを回避するため、DCの地方分散を推進している。

 糸島デジタルインフラパークは、DCの規模を示す最大受電容量300メガワットで、九州最大級。計画地(約12.2ヘクタール)は市街化調整区域で、農業振興地域となっているため、県と市は国などと事務レベルでの協議を重ねながら、地域の特性を生かしたビジネスを支援する「地域未来投資促進法」を活用し、同法人の事業計画を制度面で支援してきた。

 11月に市の開発審査会の審査を終え、今後、都市計画法に基づく開発行為などの許認可取得に向けた申請を行い、各種許認可が下り次第、2025年春頃に造成工事へ着手する予定。29年に2棟を稼働させ、34年までに計6棟にまで増やす計画。計画地内には雨水を一時的に貯留する調整池を整備し、通常時は広場として住民に開放される予定。

 市商工振興課は、糸島市が選ばれた理由について、
▽インターネット通信の相互接続点(インターネットエクスチェンジ)がある福岡市中心部から30キロ圏内
▽災害リスクの低さ▽福岡市中心部へのアクセスの良さ
▽九州大学など優秀な理工系人材の確保
-などを挙げている。

 月形市長は服部知事への報告で、「今回の計画は、国内におけるデータ拠点の分散立地、デジタルインフラ環境の向上という国策に貢献するだけでなく、糸島市のさらなる魅力向上、持続可能なまちづくりにもつながると期待している」と語り、高原代表は「データセンター建設は、北九州市若松区に続き2例目。東京・大阪に次ぐ第3のデータセンターのハブを九州北部に構築することを目指し、合計で1ギガワット規模のデータセンターを整備する計画を推進していく」と表明した。

 服部知事は「AI技術の発展を考慮すると、大規模データセンターの誘致は重要な政策であり、糸島市における今回のデータセンタープロジェクト決定は大変喜ばしい。29年の稼働開始に向けて、円滑なプロジェクトの進捗を期待しており、県としても側面的な協力は惜しまない」と述べた。

糸島新聞ホームページに地域密着情報満載)

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