【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.100(12/13号掲載)

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剪定で樹木もスッキリ

 2022年11月18日よりスタートした連載「園芸塾」もおかげさまで、100回目を迎えることができました。農園芸が身近な存在になればと、育てる裏技や植物のおもしろ雑学などいろんな情報の発信に努めています。「毎週新聞ば、ファイルしとるばい」「今回の内容はちょっと難しかった」などたくさんのお声もいただくことも参考になるし、執筆の励みにもなりますね。

 今回はこの時期の重要な園芸作業の剪定(せんてい)について

 剪定の目的は、採光や通気性の確保、伸長抑制など多岐にわたります。伸びすぎて格好が悪いのは素人でもわかるけど、いざやるとなると、どこから切ればいいか、悩みますよね。

 プロに頼めばいいけれど、その分費用が…。ならば自分でやってみてはいかがでしょう。下に向かった「下り枝」や、樹木の中心の向かって伸びた「逆さ枝」など、明らかに邪魔になるような枝を切るだけでも、案外すっきりとした樹形になるものです。新年を迎えるにあたり、私も先日、わが家の庭木の手入れをしました。

 まずはカツラ。ハート形の葉と、左右対称の端正な樹形、新緑と黄葉の美しさにひかれ、20年前に植えました。ただ、条件がよければ1年で枝が1~2メートル伸びる生育の早さは想定外。気がつくと、やぶ状態に。

 こうした左右対称になる樹木は
①全体を一定の大きさに保つには、先端の分岐点を切り、生育を抑える
②日照確保のため、枝が互い違いになるよう一方の枝の付け根から間引く
③茂っているところの小枝は付け根から切り、密生を防ぐ-

以上の点に留意して剪定しました。

 次は、美しい樹形に白い花が咲き、おいしい果実と紅葉が楽しめるジューンベリー。樹形は自然にまとまると聞いていたけど、ちょっと甘かった。ほぼ放任状態だったため、枝はぐんぐんと伸び、見た目は立派でも、肝心の収穫量が減少してきました。

 花芽が先端にしかつかないジューンベリー。中の枝を整理すれば、そこから出る脇芽に実がなります。だから、収穫を増やすには、ある程度コンパクトに育てておく必要がありました。

 これもまた、まずは下り枝と逆さ枝、そして根元から生えるひこばえを付け根からカット。一方、背丈を抑えるには、上部を切るしかありませんが、この時季、すでに来年の花芽がついています。刈り込みすぎると花芽がなくなるので、本来なら剪定は、収穫後の夏がベスト。それでも私は再来年に期待して刈り込みましたが、収穫皆無になる恐れがあるので、今やるなら軽めにしてください。

柿の剪定前の不要な逆立枝(いらない枝)
剪定前の不要な逆立枝(マークの枝)
スッキリすることで採光がよくなる

 なお、大きい枝を切ったときは、枯れ込み防止のため、癒合剤の塗布を。高所の作業や刃物を使うので、くれぐれも安全に気をつけて作業してくださいね。

 気密性の高い家やヒートテックなどの衣類進化などで、少し季節感を忘れかけている私たちに四季折々をしっかり感じさせてくれる植物たち。これからも読者の皆様に、四季に合わせた植物情報やきっと役立つ園芸作業など多岐にわたって、発信していきますので、よろしくお願いいたします。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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