3月16日まで伊都国歴史博物館
糸島市の伊都国歴史博物館で、糸島出身の日本画家・松永冠山(1894-1965年)の生誕130年を記念した企画展が開催されている。大正から昭和にかけて福岡の美術界の指導者として活躍した冠山の画業を、前期(1月25日から16日まで)・後期(18日から3月16日まで)合わせて約50点の作品とともに振り返っている。(「冠」は、「寸」でなく「刂(りっとう)」)
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冠山は1894年、糸島郡怡土村(現糸島市)で生まれ、1911年に京都市立美術工芸学校絵画科に入学。14年に京都市立絵画専門学校に進み、17年に「清境(せいきょう)」で初の官展(第11回文展)入選を果たす。同校研究科に進学した後、20年に卒業。
33年までに官展に7回入選。47年には日展委員となり、彫刻家・原田新八郎とともに糸島美術協会を設立して50年に初代会長に就任するなど、福岡・糸島の日本画壇の主導者として活躍した。
企画展では、「嵐山春色」や屏風「白糸の滝」などを並べているほか、36年には、筑豊の炭鉱御三家と言われた貝島家から、福岡藩の別邸だった旧友泉亭(現在の福岡市・友泉亭公園)の杉戸絵の制作を依頼され、「もしこれが後日文化財にでも指定されるということになればと、彼は一草一木もゆるがせに出来なかった」(冠山物語)と、1年かけて制作に打ち込んだエピソードなども紹介している。
同博物館の荻原めぐみさんは「昨年2月の生誕130年、今年3月の没後60年、そしておととし13幅の掛け軸などをまとめて寄贈いただいたのを機に、郷里の画家として生きた冠山さんを知り、語り継ぐ一助となれば」と話していた。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)