春夏野菜栽培の基本「土づくり」
植物をうまく育てる手法、手段をいろいろとお伝えしていますが、答えに100%正解というものはありませんね。何しろ、日照や降水、温湿度など植物が生育する自然環境は一定ではなく、日々変化していますからね。
特に、この時期は「三寒四温」。あちこちの農園で「今年の冬は寒かなぁ」「なんな、今日は、ぬっかなぁ(暖かい)」とよく耳にします。春の訪れがもうすぐですね。
そこで、近年、作物栽培で問題になっている夏の高温乾燥への対策。さすがに暑さに強い夏野菜、例えば「オクラ」や「ニガウリ」も近年の異常な暑さで、思うような収穫量が確保されていないようです。
暑さに耐えられる環境づくりとしては、当たり前でありますが、「土づくり」が最も重要視されます。では、土づくりは、どこにポイントがあるのでしょうか。
総体的には、土づくりは土壌の環境を整えて作物に必要な養分や水分を供給できるようにし、土壌の生産力を高めることとされます。私はこれに加えて、いろんな環境ストレスにも耐えられる根を作る土壌にすることとも考えています。
◎土づくりの目的=作物の根が伸長しやすく、円滑に機能するようにする。その結果、作物の生産能力を維持・向上させていく。
◎方法=土をよく耕して、広域的に根の張る場所を確保する。植物繊維質を多く含む堆肥などの土壌改良材を混ぜる。微生物の餌となる米ぬかや、生ごみを分解させた有機物を加える
◎作業のタイミング=春作、秋作の前の2回行うことをおすすめします。それは、春作は地上部での生育する作物が多く、秋作は根物野菜が比較的多く、属性が違うからです。遅くとも種まきや苗の植え付けを行う2~3週間ほど前までに行います。


堆肥などの土壌改良材や有機質肥料を入れ、耕した土は、まだ微生物などがなじんでいません。土壌での見えない環境が落ち着くことで、根の発根がスムーズに進みます。基本に忠実な土づくりだからこそ、猛暑が予想される半年後の作物が頑張ってくれると言えます。

昨年は、野菜だけでなく、果樹類などの農産物の流通が少なく、価格も高く推移しました。楽しく健康で暮らしていくためにも、土づくりをしっかり行って、元気な野菜を長く育ててください。来週は、土づくりの「プランター編」をお伝えいたします。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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