今だから見える景色 歌声に
—グローカルホテルでショー 6月14日—
元宝塚歌劇団月組トップスター、真琴つばささん(60)のアコースティックディナーショーが6月14日、糸島市泊のグローカルホテル糸島で開かれる。真琴さんにとって、今年は芸能活動40周年の大きな節目。ショーを前に、オンラインインタビューを行い、これまでの人生を振り返ってもらいながら、ファンへの感謝の気持ちや近況、ショーの見どころを聞いた。

-宝塚音楽学校を経て宝塚歌劇団に入団され、トップスターに上り詰められました。24年前に退団された後は歌手や俳優として活躍されています。いろんな経験を積み重ねて来られ、今ある自分をどう感じられていますか。
「不器用な私が、よくここまでやって来られたなという気持ちです。進むべき道を選ぶとき、素直な道ではなく、あえて険しい方に行ってしまうようなところがあるんです。日本語で歌ってしまえばいいものを、わざわざ使ったこともない英語の歌詞で歌ってみるといったふうに。でも、手間がかかる道のりの方が、魅力的に見える景色があるんです。素直な道を歩いていたら、今の自分はなかったかもしれません」
-真琴さんの魅力は、クールさにあると言われます。「哀愁の真琴」というイメージがファンの心をつかんでいますね。
「新人のころ、愛想のないところが欠点だと感じていました。でも、実は、それがクールで、カッコよさにつながる長所にしていけると、芸能生活を送るうちに気づかされました。欠点は、長所に変えることができるんです。そして、そのクールさを『かっこいいね』と、判断されるのはお客様です。お客様に評価してもらい、育てていただいていることに、とてもありがたい気持ちでいっぱいです。『未完の器』として、これからも足りない何かを追いかけていきます」
-糸島でショーを行う前の6月8日に、東京のヤマハホールで40周年コンサートを開かれますね。
「宝塚時代の曲もたっぷりと振り返るコンサートにします。ただ、若いころのように、ガンガンやるのではなく、ファンの皆様と共に、新たなステップを踏んでいけるよう一つ大人になったようなコンサートにします。私が初舞台を踏んだ時、トップスターで、遠いところにおられた髙汐巴さん、退団するころ、一番近いところで相手役をしてくれた檀れいさんにスペシャルゲストとして出演していただきます」
-「大阪・関西万博」会場のホールで、4月29日から5月1日まで開かれた宝塚OGによるスペシャルショーステージに出られました。元トップスター9人が勢ぞろいしたとのことですね。
「万博にゆかりのある国々や都市を巡るという華やかなショーをお届けできました。私は、フランスのシャンソンのコーナーで『愛の讃歌』を歌いました。ショーの最後は(宝塚歌劇団の代表曲の)『すみれの花咲く頃』でしたが、会場のお客様も一緒になって歌声を合わせていただき、とても温かみを感じました」
-糸島でのショーでは、どんな名曲が楽しめますか。
「糸島では『サン・トワ・マミ-』や『パリの空の下』など、私が選んだシャンソンをはじめ、アメリカの『テネシー・ワルツ』も歌います。重厚な響きのピアノと、やさしく深みのあるバイオリンの音色と共に、ぜひ、お楽しみください」
-「シャンソンの女王」と呼ばれた故越路吹雪さんをとても尊敬されているそうですね。
「越路さんの歌には『悲しみがある』と書かれたものを読んだことがありますが、私にも悲しみが多いと思うので、共鳴するものがあります。越路さんには、人の心をひきつける力があるんです。歌っていない時のハートがすごくて、心の動きにとてもひかれます。私は、そこまで追いついてはいません。ただ、年齢では、越路さんが亡くなられた歳を過ぎました。越路さんが見られていたのとは違う景色を見ながら歌っているのかなと、感じることがあります。歳を重ねたからこそ、出せる歌の表現を追求していこうと思います」
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)