市商工会女性部 幣の浜で保全作業
美しい海岸線を形成する糸島市の松林を取り戻そうと、糸島市商工会女性部(約130人)が地道な保全活動を続けている。同市志摩の幣(にぎ)の浜で松枝拾いや下草刈りなどに取り組み、松の保護に貢献。景観再生の一翼を担っている。

同会女性部は2020年、市のアダプト事業(松林里親制度)に参加。年1回、幣の浜の担当区画3500平方メートルで保全作業を実施している。活動内容は、松の苗木の周囲に生えた雑草刈りや、松葉かき、松枝拾いなど多岐にわたる。今年3月はあいにくの雨で中止となったが、毎年十数人が活動に参加している。
女性部メンバーは40代から80代まで、幅広い年齢層の女性経営者や事業主の配偶者、家族で構成。普段は各自の商売や仕事を持ちながらも、松林保全のボランティアにも積極的に取り組んでいる。
「一日も早く、白砂青松の姿を復活させたい」。活動をリードしてきた同会女性部の坂本朱美部長は、「担当した場所は、石ころが多くて。草刈り機を使うのに危ないので、最初は人海戦術じゃないですけど、みんなで手作業で、石拾いから始めて」と振り返り、「足元ぐらいしか背丈がなかった松の苗木が、今では私の肩くらいにまで成長して」とうれしそうに目を細める。
市水産林務課によると、12年度には年間3万1842本もの松が枯れ、過去最大の被害が出たが、24年度は510本と、ピーク時のわずか2%以下にまで減少。同課は「各団体などによる根気強い保全活動が、松林の再生につながっている」と語る。
女性部は松林保全だけでなく、市民まつりでの出店や白糸の滝のアジサイ保全活動、ラブ・アースクリーンアップへの参加など、地域に根ざした活動を行っているほか、糸島の新たなお土産として「伊都赤米カステラ」や「同ラスク」も開発した。
坂本部長は「これからも糸島の美しい海岸線を守るため、着実に活動を続けていきたい」と話している。
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