アーティスト 大川 博

玄界灘に臨む芥屋の集落から立石山へと道を登っていくと、視界が急に開けた。広い空の下、緑萌(も)える山塊が現れ、そして、その姿を映しだす池。雨上がりの空の雲間から柔らかな光がさしてくる。
風がなく波のない池面に映る世界は、上下が反転した「もうひとつの世界」。「時が止まった場所」として、霊的な時間感覚を生む場でもある。この光景に吸い込まれていくような感じがした。なんだか心が洗われる風景である。移ろいゆく自然の中で、一瞬だけ垣間見える光景は、見る者の心も映し出しているのかもしれない。
(アーティスト・大川博)
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大阪で育ち、京都で学び、東京で働く。縁あって、糸島の風景を描く。アート(視覚)、オーディオ(聴覚)、アロマ(嗅覚)を融合化し、没入感をより深める作品を、毎年個展で発表。
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