来年3月31日まで閉鎖 長寿命化目指す
老朽化した伊都国歴史博物館(糸島市井原)の旧館が、大規模改修工事のために1日から来年3月31日まで約10カ月間、閉鎖されている。新館も館内照明のLED化が予定されており、10月1日から来年1月5日までの工事期間中は、全館休館となる。

旧館は1987年7月、市内の平原遺跡から出土した40枚の銅鏡など(2006年に国宝指定)貴重な文化財を展示するため「伊都歴史資料館」として開館。延べ床面積は約1,198平方メートル。
04年10月に新館(延べ床面積約2,920平方メートル)が完成すると、平原遺跡の出土品は新館に移され、旧館は古墳時代など古代から中世、近世、近・現代までの遺物や民俗資料の展示場所として活用されてきた。
特に旧館2階には、機織り機や手足を温める暖房具「行火(あんか)」、食事に使う「割子(わりこ)」、衣類のしわを伸ばす「火熨斗(ひのし)」などのほか、昭和初期に販売された手回しミシンや、手動計算機(1930~70年代)、和文タイプライター(1915~70年代)、インスタントカメラなど多種多様な民俗資料が展示され、来館者から「懐かしい」と好評を得ている。

今回の大規模改修は、旧館の長寿命化が主な目的。同館担当者によると「屋根や外壁の劣化が進み、一部で雨漏りも発生していた」という。展示品への影響はなかったものの、「壁紙の張替えなど内装や設備関係、空調設備なども一部で修理が必要な状態」と担当者。
工事は7月ごろから開始予定で、6月は展示品を館内の収蔵庫などに移動する準備期間にあてる。担当者は「基本的には全部動かさないといけない。工事の時に危ないので」と説明する。改修後の展示内容は基本的に変更せず、現在と同じ配置に戻す予定だ。
一方、新館は省エネ推進のため、展示ケース内の特殊照明を除き、館内照明のLED化を実施。約3カ月の工事期間中は新館も休館となるほか、駐車場も一部利用できなくなる。
すでに秋の団体見学予約の問い合わせもあるが、「休館のため、お断りしている状況。工事中は足場を組んだりするため、来館者の安全を確保するためにも、秋の特別展は中止せざるを得なかった」と同館。
「利用者の皆さまには大変ご不便をおかけしますが、ご理解のほどをよろしくお願いいたします」としている。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)