ピーマンの栽培管理
前回のナスの栽培管理に引き続き、今回はピーマンの栽培管理について、重要なポイントは何か考えてみましょう。ピーマンは、ナスやトマト、トウガラシなどと同様、ナス科のグループに入ります。草花では「ペチュニア」や外来雑草の「ワルナスビ」も同系種となります。
ナス科で共通するのが連作に弱い性質を持っていることです。生育に勢いが出始めるこの時期、「あれれ、生育が悪い」「追肥しても元気がでない」などと感じられた場合は、連作を疑う必要があります。もし、連作でなければ、他の要因を探る必要がありますので、その時は、JAや園芸店に相談するか、新聞社までお問い合わせください。
さて、ピーマンの収穫目安日数は開花から約15~20日程度、完熟果(パプリカやカラーピーマン)の場合は約40~60日程度かかります。
ただし、ピーマンは、ナスと違い、自家受粉性なので、連続して実をつけてくれます。よって、3~4日ごとに収穫することができ、家庭菜園では、品種によって差異はありますが、1株からおおむね50~60個前後の収穫が期待されます。

では、この時期、栽培の重要なポイントは何か。
▽乾燥と風に注意
ピーマンは根を地中深くまで伸ばすナスとは違い、地表面近くに根を張る「浅根性」です。このため、茎葉を支える根が弱く、倒伏防止として支柱に茎葉をしっかり固定する必要があります。また、浅根のため、地表の乾燥が原因で、根が傷んでしまう危険性があります。よって、株元には、ポリフィルム、または敷きわらなどでしっかり保湿し、乾燥防止に努めてください。
▽水と肥料
トマトは肥料や水を控えて管理しますが、ナス、ピーマンは水、肥料を多く与えて管理していきます。特にピーマンは連続して収穫できますので、こまめな追肥と土が乾かないレベルでの潅水(かんすい)が重要です。

▽一番果、二番果
ナス同様、最初に実をつけた一番果、二番果は大きくなる前に収穫をし、株の負担を軽減することで、後の生育が勢いづいてきます。パプリカの場合は、三、四番果までの早期収穫がポイントです。
▽若獲り
ピーマンは、赤や黄色のように完熟果実として収穫するパプリカやトマトなどと違い、未熟果(緑色)での収穫なので、果重約30グラムを目安として、早め早めの収穫に徹することで、株への負担が減り、収量や収穫期間が長く楽しめます。
▽カメムシ類
ピーマンの難敵は「カメムシ」。ピーマンの葉や果実の柔らかさと含水分が、カメムシにとって好条件なため、多く発生する原因になっていると思われます。
対処として、カメムシは動きが緩慢なので、発見したら手で捕殺する。葉裏でキラキラ輝く卵を除去する。所定の薬剤散布などで対応してください。
ピーマンは栽培難易度が比較的低く、家庭菜園でも人気野菜の一つです。また、他の野菜には少ない栄養価、血液をサラサラさせる効果のピラジンや毛細血管を丈夫にするヘスペリジンを含む健康野菜です。たくさん食べて、健康維持に努めてください。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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