糸島市の一坊寺さん 食害防止へ効力
「今日も大漁だ」。「スクミリンゴガイ」(通称ジャンボタニシ)がぎっしり入ったバケツを手にする、糸島市志摩初の兼業農家、一坊寺勝之さん(57)。水稲を食害するジャンボタニシを、段ボールを使って捕獲することに成功している。

一坊寺さんは5年前、たまたま田んぼに飛ばされた段ボールをジャンボタニシが群がって食べていたという話を耳にした。「苗が十分育つまで段ボールを食べさせていたら、稲が育つのでは」と考え、自分の田んぼに段ボールを置くようになった。
今年は6月23日に田植えをしたが、例年よりもジャンボタニシの発生が多かったため、10~15センチ角に切った段ボールをいくつも田んぼの端に置いた。すると一晩で、表も裏も真っ黒になるほどジャンボタニシが集まった。四角い虫取り網とナイロン製の固めのほうきを使い、1日およそ10キロのジャンボタニシを回収している。「印刷されていない無地の段ボールが好きみたい」と、びっしりジャンボタニシが付いた段ボールを網に入れながら笑う。
段ボールはやがて土に戻るため、環境への負荷も少ない。また小さなタニシまで一斉に集まるため、昔のように手で一つ一つ拾い集める必要もない。一坊寺さんは「薬剤を使えば、川や海に流れて生態系に影響が出かねない。段ボールならお金もかからないし、自分の田んぼを守りたい人の助けになるのでは」と話していた。
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