【糸島市】“九大生が聞く!!ビジネス最前線 in糸島”

株式会社アクアグローバルフーズ㊦  代表取締役 上野 慎一郎さん(41)

 このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで活動している企業や団体を取材し、その魅力を紹介します。芸術工学府修士2年、北垣玲音が前回に引き続き、「濃厚みるくがき」を生産するなどの事業を展開する糸島市志摩の株式会社アクアグローバルフーズ代表取締役上野慎一郎さん(41)にお話をうかがいました。

上野慎一郎代表取締役

-カキの養殖以外にも、牡蠣(かき)小屋「豊久丸」もされているそうですね。店の運営では、どのような点に力を入れていますか。

 「メニューの開発は、納得いくものができるまで徹底的に行います。みるくがきのアヒージョや牡蠣チャウダーや牡蠣カレーなども出しているのですが、商品開発の際は納得のいくものができるまで何度も試作を行います。また、牡蠣小屋の時期になると常連のお客様と連絡をとり、予約を入れていただけるよう工夫をしています」

-飲食業と共に、卸売業もされていますね。12年前から海外への輸出もされているとうかがいました。海外の情報を得るため、ネットワークが必要だと思いますが、どのように築かれましたか。

 「輸出をしてみようと思ったのは、会社に勤めている時からでした。元々海外を相手に仕事をすることに興味があり貿易の仕事をしてみたかったので輸出に取り組み始めました。ただ、カキを国外に輸出しようと考える生産者の方は限られていて、かなりニッチなマーケットなんです。だから、輸出に携わる生産者同士は比較的つながりやすく、個別に声をかけたり、展示会で情報交換したりすることでネットワークを広げていきました」

-どのような国に輸出されていますか。

 「主な輸出先はシンガポールや香港で、カザフスタンやウズベキスタン、ドバイ、マレーシアなどとも取り引きがあります。国内と海外のシェアは、状況によって異なります。たとえば、コロナ禍では、国内の需要が減ったため、海外への出荷が増え、逆にコロナが落ち着いてからは国内需要が回復しています」

-今後の事業展開の方向性についてお聞かせください。

 「水産業を取り巻く状況は変化が激しく、常に成長し続けなければ、生き残っていけないと思っています。現状維持では、いずれ必ず衰退してしまう。だからこそ、『変化を続けること』が会社の継続につながると考えています。これからも、自分たちが誇りを持ち続けられるカキを作りながら、新しいことに挑戦し続けていきたいです」

養殖された「濃厚みるくがき」

 取材を終えて

 上野さんが養殖業にとどまらず、常に新たな可能性を模索し続ける姿勢や、事業が増えても一つひとつに真摯(しんし)に向き合う姿に深く感銘を受けました。挑戦を恐れず、着実に前に進むその姿勢を、私も見習いたいと思います。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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