【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.128(7/11号掲載)

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野菜の曇天長雨後の対策

 先週は、梅雨や秋雨など長雨が続いた場合の対策として、プランター栽培をはじめ、野菜栽培の管理についてご紹介いたしました。

 曇天による日照不足や土が乾くタイミングないほどの雨が降り続いた後の、一転した高温乾燥。近年の夏は、強烈な日射、35度を超える日中温度、夕立も降りにくくなっており、夜も気温が下がりにくい熱帯夜が続いています。加えて強乾燥。作物にとっては過酷な天候です。

 昨年、柑橘(かんきつ)類の価格が高く推移したのは、夏季の高温乾燥による「果実の落果」と、柔らかい果皮が変色する「日焼け症」による品不足。樹にも相当なストレスがかかったのでしょう。野菜にも影響が出ました。7月中旬から始まったキャベツやブロッコリーの育苗。苗の定植適期になった8月中旬以降、降雨が少なく連日の高温乾燥で、土壌が強烈に乾燥し、植込み出来ない、植えてもなかなか活着しにくいなどにより、11月以降の野菜高騰の原因の一つとなりました。

 せっかく梅雨を乗り越えたトマトやナス、キュウリなどの春夏野菜も、一転した高温乾燥はたまったもんじゃありません。傷んだ根や茎葉も回復には時間を要するのに、照り続ける強烈な熱射は逆に生育ストレスとなってしまいます。そこで、野菜を守る対策。

 ◎物理的には、寒冷紗などで日射を遮る

 今は黒い寒冷紗で日陰をつくるタイプだけでなく、シルバータイプの太陽熱を反射させ、熱を通しにくい遮熱型や暗く日陰にならないよう、投光率を調整したタイプなど植物を優しく守る遮光資材があります。サイズもいろいろあるので、JAやホームセンターなどで相談してみてください。ちょっとそれますが、ちなみにわが家の南側窓には、強い日差しと熱射から部屋を守る、特殊シート「涼しかネットくん」を設置し、夏対策しています。効果は抜群です。

 ◎復元効果が期待される液体活性肥料を与える

 曇天高湿度後の野菜や草花、果樹類は根が弱って、葉も柔らくなって体力を落としています。

 このような時に、固形タイプの肥料を土の表面に追肥してもなかなか、吸収してくれません。そこで、元気回復が期待される活性液が「カルシウム液」の補給。各メーカーからいろんな商品が販売されていますし、身近な素材で手作りも可能ですが、今回は安価で市販されている商品をご紹介いたします。

スーパーノルチッソ

 おすすめは「スーパーノルチッソ」。早効きのカルシウム水溶肥料。弱った根の細胞を活性させてくれます。1グラムを1リットルの水に薄め1株当たり希釈を500ミリリットル目安で、10日に1回の割合で流し込んでください。カルシウム液の補給は、植物復元効果はもとより、これからも続きそうな高温乾燥などの生育ストレスの軽減なども効果が期待されています。商品はJA糸島アグリにて500グラム188円(税込み)にて販売中です。

液肥と混ぜるとより生育効果が高まる

 猛暑の中、栄養素を求めるのは、露地野菜だけでなく、私たち人も一緒。夏場はビタミンやミネラル類の補給をこまめに行い、熱中症予防や夏バテから大切な体を守ってくださいね。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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