猛暑逆手に刈取り 雑草乾燥
7月22日は「二十四節気の大暑」。大いに暑いの名前のとおり、一年を通して、暑さの最も厳しい時季となっています。それにしても、近年の夏の暑さは、これまでとは厳しさが違いますね。「毎日、暑過ぎて、仕事にならんばい。朝はよう(早く)からチョロ~としか、外の仕事のできん」と直売所出荷の元気なおじいちゃん。さすがに無理は禁物。体もヒートアップしてしまうと大変なことになってしまいます。
この先、どんな暑さになっていくのか。ニュースではニワトリが猛暑による夏バテで、餌の食べる量が減り、卵を産むのが難しくなっているとのこと。生まれた卵も小玉や殻が薄く、保存や移動もできにくいなど、供給量が減っているそうです。夏バテは、人だけではないですよね、動物も植物も、異常な暑さに耐えています。
猛暑による高温乾燥は、生育温度を超えた野菜には、かなりのストレスになっていると思います。ここは、前回ご紹介した、カルシウム成分を含む肥料の追肥や液体肥料の積極的な施用で、野菜の体力の維持に努める必要があります。
一方、農業技術で、強い日射と高温乾燥を利用することができます。昨年7月19日号では、猛暑を利用し、土壌を消毒する「太陽熱土壌消毒還元法」を紹介しました。もし、遊休地があれば、今年もチャレンジしてみてください。
この異常な猛暑を利用するおすすめの技が、刈取り雑草の保存。何か意味ある?と思われますが、参考にしてみてください。近年は、野菜を植えた株周りを乾燥などから守るために優秀だったワラ(敷きワラ)の入手が難しくなってきています。


水稲や麦など収穫した後のワラは野菜栽培にとっては、大切な有機物でしたが、コンバインなどが大型化し、収穫後、いっきにワラは寸断され、土壌にすき込みやすい状態にされます。そして、大型トラクターでワラが見えないくらいすき込まれていきます。こうした理由で、敷きワラの需給がひっ迫しており、自前でどうにか調達していかなければなりません。

そこで、皆さんの菜園などで発生した雑草を処分するのではなく、強烈な熱射で雑草を乾燥させ、土のう袋などで貯蔵しておくという方法があります。種まき後に表面にまいて強い雨から守ったり、トマトやキュウリなどの春夏野菜苗の植付後の株周りの乾燥や保護に役立てたりできます。
通常、草刈り後の雑草は、種子などをつけている可能性があり、不用意に土に入れ込むと逆に雑草の範囲が広がる可能性があります。今回は期間限定ですが、刈り取った雑草をコンクリートの上などに置いておくと、日射と乾燥により、カラカラとなり雑草種子も絶えていきます。刈り取った雑草だけでなく、柔らかく細かい樹木の剪定(せんてい)枝葉も、乾燥させ貯蔵しておくだけで、立派な有機物マルチとなります。
猛暑時期だからこそできる作業。あまりうれしいことではないと思いますが、年々夏の猛暑が厳しさを増していくような予感がします。今からの農園芸は、過去の栽培体系では、成り立たなくなっているようです。いろんな知恵を絞り、工夫し対応していく必要がありますね。
まだまだ、暑い日が続きます。くれぐれもお体を大切にされ、お過ごしください。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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