【糸島市】《糸島新聞連載コラム まち角》街で見かける「日傘男子」

まち角アイキャッチ

 男が日傘を差すなんて、恥ずかしいー。近年の猛暑続きの夏は、こうした感覚を変えてしまいつつある。強烈な日差しの下、建物の日蔭を求めながら街を歩いていると、年齢に関係なく、日傘を手にした男性を見かけるようになった。その姿に違和感はない。性別を気に掛けることなく、日傘が夏の必需品になっていくのだろうという思いを抱きながら、陽光をはね返すシルバーの日傘を見つめた▼日蔭を持ち歩くことができる日傘。実は6年前、すでに環境省が日本百貨店協会などと連携し、日傘の活用を促す取り組みをしていた。日傘を差した男性のイラストをあしらった熱中症対策のPOPを作成して百貨店に提供。POPには、日傘の使用で汗の量が17%減ったとの調査結果を紹介し、これをきっかけに、「日傘男子」の話題がテレビで取り上げられもしたという▼傘の歴史を調べてみると、始まりは雨傘ではなく日傘。傘が一般的に使われるようになった古代ギリシャ時代、貴婦人たちは外出の際、従者に傘を持たせ、日よけにしていたという。日本に目を向けると、かつて男性が自慢げに日傘を差していた時代があった▼大正から戦前の昭和にかけてのこと。紳士たちが絹織物製の日傘を手にし、にぎやかなところへと出かけていった。「絹紬(けんちゅう)」と呼ばれるぜいたくな傘で、富裕層のステータスシンボルになっていた。庶民の目には、日傘男子がダンディーに映り、憧れの的だったという▼自身としては、帽子をかぶって焼き付くような日差しをしのいでいる。紫外線対策に無頓着だったため、シミが目立つようになったのがきっかけ。ただ、髪型が崩れるのが気になり、帽子を着用するのはプライベートのときだけだ。手に持つ煩わしさはあるとはいえ、日傘は汗をかくのを抑え、清潔感につながる。スキンケアなどに気を使う「美容男子」という言葉が聞かれる昨今、日傘は美容対策という観点でも話題を集めているという。猛暑が常態化する中、もてはやされるアイテム。より涼しさを追求し、進化を遂げていくのだろう。

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