【糸島市】“九大生が聞く!!ビジネス最前線 in糸島”地域に根ざした商品づくり

北伊醤油㊦  社長 山上弘司さん(43)

 このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで活動している団体や企業を取り上げ、魅力を紹介しています。共創学部3年の加藤千穂が前回に引き続き、昔ながらの天然醸造の醤油(しょうゆ)も扱っている北伊醤油社長の山上弘司さん(43)に、お客様に向き合う姿勢についてうかがいました。

看板の横に立つ山上社長

-お客様の家まで配達に行くこともあるそうですね。

 「ご契約いただいたお客様に醤油を配達しています。注文を受けてからの配達ではなく、配達頻度は当社で判断し、季節などを考慮して使い切る期間を考えながら配達にうかがっています。現在も約6千軒のお客様にご契約いただいています。糸島は昔から一次産業従事者が多かったため、このような文化が続いているのではないかと思います」

-新規の販路開拓はどのように行っていますか。

 「醤油は代々地元のものを使いたいという人も多く、固定のお客様が多い商品です。ですから、まずは当社の醤油を知っていただくきっかけづくりが大切で、蔵見学を実施したり、オンライン販売をしたりしています。また、飲食店の経営者様のご要望に沿って、商品開発から製造まで一貫して行うODMの取り組みをし、うなぎのタレなど、さまざまな商品を生み出しています」

-SDGsにも取り組まれているのですね。

 「配達する一升瓶は全てリサイクルして使用しています。他にも、絞った大豆粕(かす)を堆肥として農家さんに提供することで、以前は1カ月にゴミ袋100袋以上出ていたのに対し、現在は2袋程度に抑えられています。次世代のために、『作る責任、使う責任』を全うしたいと考えています」

-経営者として、地域の人から学んだことがたくさんあるそうですね。

 「糸島の人たちは『たてよこ』のつながりが強いです。地域のため、人のためになることを積極的に教えてくれる先輩が多いと思います。27歳で家業に携わるようになった時、機械を導入して生産性をあげたいという思いもありました。しかし、先輩と話す中で、北伊醤油の魅力は先人たちが築いてきた醤油であることに気づき、伝統を守り続けることができました」

-伝統の中で続く経営理念はありますか。

 「食を通してお客様に健康と笑顔を届けられる会社でありたいと考えています。お客様のニーズにしっかりとお応えしながら『おいしい』を広げていきたいです」

一升瓶に入った純もろみしょうゆ特醸

取材を終えて

 食で人々に笑顔を届ける現場を見ることができました。天然醸造の醤油という伝統が地域の中に根差していました。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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