【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.135(9/5号掲載)

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野菜の再生力を利用しよう

 JAや園芸店に足を運ぶと、売り場には、ブロッコリーやキャベツの苗が並び始めましたね。ニンニクやホームタマネギ、秋バレイショなどの種球、ダイコンやホウレンソウなどの種物もいろんな種類があり、楽しくなってきます。

 知り合いの方が「何もかも高くなりましたな。種子やら種イモとか、昔は安かったばってんね~」と話していました。確かに、肥料や出荷資材などを中心に値上がりしている状態。これからの秋冬野菜栽培でも、プロの生産者は資材費が高くなるばかりか、高温や少雨、反対に台風や豪雨などの気象でも生育や収量が左右されますから、先が見えにくいところがあります。せめて、天候だけでも安定してくれるよう願っております。

 そこで、今回は、すでに実践されている方も多いと思いますが、野菜の再生力を活用したテーブル栽培について取り上げてみました。

 野菜は下ごしらえの時にヘタや皮など食べられない部分を処分します。野菜の種類によってはこの捨てる部分を育てて再収穫する。捨てる部分を育てるのだから材料費はほぼかかりませんし、育てる楽しみ、収穫の喜び、ちょっとしたお得感も感じられます。

 代表的なのが「小ネギ」でしょう。根の部分の上3センチ程度のところで茎を切り、それを水を入れたおしゃれな瓶などに立てておきます。根が残っているもののほうが成長が早く、よりたくさん収穫できます。

カットして根部を水に漬けたネギ(左)と、コマツナ

 面白いのが「コマツナ」。意外と再生力が高い野菜の一つです。根元4~5センチの部分を水耕栽培で育てても葉が出てきます。約2週間で10枚程度の葉が収穫できます。その他、おすすめなのが「シュンギク」や「ミツバ」。再生力は抜群で、独特の香味野菜ですので、ちょっとした味付けに活躍します。
ただ、水耕栽培にはポイントがあります。

 ◎定期的に水の入れ替えを行い、常に酸素を含んだ清潔な水での栽培が重要。
 ◎水は多くしすぎないこと。
 ◎直射日光を避けた日当たりのよい場所で栽培。

 肥料を使うことで、水が腐ったり、水に藻が生えたりする危険性が高まりますので、注意が必要です。また、日当たりによって成長スピードが変わりますので、なるべく室内の明るい場所に置くことが大切です。

 私たちの生活は、趣味や嗜好(しこう)性などが多様化しています。しかし、いろんな物品が値上がりし、家計への負担は避けられませんね。「物を長く使いこなす」「利用できるものは、何度も活用する」など、日々の生活の中から、再利用を心がけることが重要です。再生力のある野菜、そこからきっと、何かいろんなアイデアが生まれてくると思います。

コマツナを使ったふわふわスパニッシュオムレツ風チーズ入りベーコンの卵焼き

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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