西日本新聞セレクトモール
アーティスト、大川博さんによる本紙の風景画連載「糸島八景」で、「可也山遠望」をテーマにした作品販売が西日本新聞セレクトモールで行われている。インターネットで通販が楽しめるショッピングモールで、電話でも受け付けている。

電子ペンで描いたデジタルペインティング。今回は、可也山と、その山裾の先に広がる干拓地、川の流れを描いた8枚の連作。
デジタルペインティングをリトグラフ風に仕上げて額装。
100枚限定でエディションナンバーをつけ、落款を押している。
《価格(税込)》
1枚(額装)送料込み …1万2千円
4枚セット(額装は1枚のみ)…3万5千円
8枚セット(同) …6万4千円
ご購入の申し込み
西日本新聞セレクトモール
電話 092(558)8127(平日午前10時~午後5時)
※電話によるお申し込みは29日以降
URL セレクトモールのウェブ
―可也山遠望―
同一の構図に可也山をとらえ、朝から夜へ、晴から雨へと移ろう光を重ねた八景。それは単なる自然の描写ではなく、「光に宿る象徴性」を探る試みである。
川の流れは脊振山系からの水を集め、田畑を潤しながら加布里湾へ注ぐ。近世、先人たちの干拓によって拓かれたこの地は、今も人々の暮らしを支える場となっている。可也山の姿は、その循環を見守るかのように四季折々の光を受け止め、地域の心象風景として今日まで親しまれてきた。
本連作は、川の循環に自然の恵みを、山のうねりに大地の記憶を、天空の色に人々の感情や祈りを重ね合わせたものである。観る者は「可也山」という象徴を通じて、自然と暮らし、故郷と記憶が交差する場へと導かれるだろう。
1 気韻(きいん)

淡墨のような調べで描かれた可也山。霧が大地と天の境を曖昧にし、静謐な気韻が漂う。山は沈黙の中に息づき、始まりを予兆する。
2 曙光(しょこう)

東雲の空が淡い桃色に染まり、夜と朝が融けてゆく。可也山は光を抱いて目覚め、川面には新たな息吹が映る。黎明の祝福を感じる瞬間。
3 晴嵐(せいらん)

紺碧の空に緑の山影が映える。嵐を洗い流した後の透明な大気が広がり、川の流れは清らかに輝く。自然の再生の力を宿す光景。
4 慈雨

灰雲が大地に恵みの雨をもたらす直前の気配。可也山は静かにその水を受け止め、川は豊饒の循環を待ち受ける。雨は田畑を潤し、人々の暮らしを支える。
5 光明(こうみょう)

雲間から差す一筋の光が山を照らす。暗さを裂いて降り注ぐ光は、天からの啓示のように大地を抱く。可也山は聖なる象徴として立ち現れる。
6 夕照(せきしょう)

橙に燃える空を背に山影は黒く沈む。沈む陽は一日の終わりを告げつつ、山を祈りのシルエットへと変える。夕べの静けさが心に満ちる。
7 月暈(つきがさ)

紫紺の夜空に浮かぶ満月が淡い光輪をまとい、可也山を照らす。月暈は天空と大地を結ぶ環のように輝き、静謐と神秘をたたえる。
8 紫雲(しうん)

星空を背景に、紫の雲が山上に漂う。古来より吉兆とされる光景は、可也山を象徴的な峰へと昇華させる。祈りと郷愁が重なる夜の情景である。
本作では、可也山を「うねりの集合体」として描きとめるとともに、泉川と干拓の歴史を通じて、自然と人の営みが重なり合う風景を表現した。