未来航路株式会社㊦ 社長 河原 良平さん(48)
このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで事業活動している団体や企業を取り上げ、魅力を紹介しています。共創学部3年の加藤千穂が前回に引き続き、さまざまな課題解決のためのモノづくりに挑戦されている未来航路株式会社社長の河原良平さん(48)に、特別支援学校などで使われているトランポリンについてうかがいました。

-発達障害の子どもたちが遊具として使用するトランポリンを設計、製造されているそうですね。
「発達障害をもつ方は、視覚や聴覚、触覚に加えてバランスを保つための前庭感覚、関節を動かすための固有感覚という五つの感覚の刺激を過剰、または過小に感じている状態です。そのため、脳が感覚をスムーズに整理・統合する力を育む療育が行われています。トランポリンは、さまざまな種類の刺激を与えることで、感覚を統合する療育ができ、障害を緩和させることにつながります」
-主力製品の港湾・漁港用の車止めとは、まったく異なる分野ですね。
「きっかけは、アメリカで感覚統合療育に携わり、日本でこの療育を広めていく中で、トランポリンを販売していたアメリカ人からの依頼でした。彼らは当時、海外から輸入したものを販売していましたが、故障が相次ぎ、製造を協力してくれる事業所はないかと、関係者に相談したところ、当社を紹介してくださったようです。しかし、事業がうまくいかず廃業されたため、現在は事業を引き継ぐ形で、当社で製造から販売をするようになりました。最初は課題が多く大変でしたが、利用者様それぞれの声をしっかりと聞き、改善していった結果、現在は、他の遊具と合わせて900件の施設でご利用いただいています」
-家庭用のトランポリンも造られているのですね。
「従来のトランポリンより小さく、ご家庭で気軽に運動ができます。お子様はもちろん、ご年配の方は、腸腰筋を鍛える効果もありますし、脳に刺激を与えるため認知症予防にもつながります」
-なぜ多様な事業が可能になっているのでしょうか。
「『企業は人』です。私の『社員を育てたい』という思いを今では社員自身が持ち、仕事に取り組んでくれています。社会が日々変化していく中で、当社は常に『現場』の声に耳を傾け、アイデアを生み出し、課題を解決し続けます」

取材を終えて
実際にトランポリンを利用し、従来のものとの圧倒的な違いを感じました。未来に向けて歩みを止めないモノづくりの現場は輝いていました。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)