【糸島市】神木から生まれた楽器

雉琴神社包む和胡の音色

糸島市の雉琴神社で9月22日、2020年の台風で倒れたご神木から生まれた創作楽器「和胡(わこ)」の奉納演奏が行われ、樹齢300年の悠久の響きが境内に広がった。

 奉納演奏は、秋季大祭の前夜祭「淀祭」で営まれた。和胡に使われたのは、樹齢300年を超えるケヤキで、20年の台風の時、強風にあおられ、本殿とともに倒れたご神木。

ご神木から生まれた和胡を演奏する里地帰さん

 福岡を拠点に活動する音楽家・里地帰(さとちき)さんが、倒れたご神木の一部を譲り受け、5年の歳月をかけて楽器に仕立てた。皮部分には和紙を用い、2本の弦を弓で擦って奏でる、中国の伝統楽器「二胡」に着想を得た創作楽器。境内に詰めかけた地域住民は、その柔らかくも芯のある音色に耳を傾けた。

 台風被害時に総代を務めていた古川資啓さんは「クラウドファンディングに挑戦するなど、多くの方々の力を借りて本殿再建にこぎつけた。そして約束通り、ご神木が楽器となって帰って来た。二胡とはまた違う、心に染みるやさしい響きだった」と当時を振り返りながら語った。

 現・神社総代の井手均さんは「倒れたご神木が新たな命を宿し、楽器となって多くの人にその音色を届けられたことが何よりうれしい」と喜びを語った。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

目次