【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.139(10/3号掲載)

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秋冬野菜栽培 ~家庭菜園シリーズ カブ編

 私たちが直売所などで見慣れているのは、白い小カブや少し大きめの中カブですが、実は全国各地で多くのご当地カブが栽培されています。栽培面積は広くないものの、それぞれの地方の独自の風土や料理に根ざして残っているのも素晴らしいと言えます。糸島でも、赤紫と白のコントラストが美しい肌色の「芥屋かぶ」が有名ですし、お隣の福岡市では、甘くて柔らかく、肉質が緻密な「博多据(すわ)りかぶ」が郷土野菜として栽培されていますね。

博多据りかぶと本紅丸かぶ

 小カブは生育日数も短いので家庭菜園で手軽に作れる品目ですが、注意しなければならないのが、連作すると根こぶ病が発生しやすくなります。また、春まきでは低温でトウ立ちする場合がありますので、病気に強い品種や春まきができる品種などを選んで栽培しましょう。

 カブ栽培のポイントは良質な土づくりにあります。生育初期に乾燥すると根が割れ、過湿条件では肥大が遅れ不ぞろいになります。保水性・排水性が良く、有機質に富んだ畑づくりが基本となります。また高温ではとがりやすくなり、食味や品質が劣ってしまいます。暑い時期を避けての種まきのスタートがおすすめです。

 まず、土づくり。地力の低下は病気、障害の発生につながり、品質低下の原因となってしまうので、完熟堆肥などの有機質肥料を積極的に施して土づくりをしてください。植えつけの2週間前に1坪当たり、かき殻石灰または苦土石灰を350グラム、有機配合肥料300グラムを目安として施します。完熟堆肥は、7キロ/坪目安を前作に入れておきます。

 畝の作り方と栽培間隔は添付資料を参考にしてください。

畝の作り方(標準)イラスト 株式会社トーホク

 カブ栽培の重点項目は、間引きと同時に中耕と土寄せを行うことです。中耕と土寄せの目的は、除草、根部に酸素を供給して成長を促すこと、株元を固定して強風によって回されないようにすることなどです。根の肥大期に乾燥させると、裂根の原因になります。栽培期間が短い割には多肥を好むので、間引き後に、効果が早い液肥か化成肥料を畝の両側へ交互に施してください

 よく相談を受けるのが「うちのカブは太らんちゃんね~」という内容。原因はいくつか考えられますが、カブは酸性が強くなると、生育が極端に悪くなる性質があるので、かき殻石灰などを多めに入れ、土壌を弱酸性に維持をしてください。

 おいしいカブは、サラダや浅漬け、みそ汁など幅広い調理方法あり、うまさが引きたちます。また、カブの特長として、消化酵素のアミラーゼが豊富に含まれているので、胃もたれや胸やけの予防改善に効果があります。ついつい年末年始の食べ過ぎや飲み過ぎになりがちな時期に食べ、体調を整えるのに最高の野菜と言えます。栄養豊富で胃腸に優しいカブ。葉も実も丸ごと食べましょう。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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