【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.140(10/10号掲載)

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秋冬野菜栽培 ~家庭菜園シリーズ エンドウ編

 10月8日は二十四節気の「寒露」。草木に冷たい露が降り、秋が深まるのを感じさせる頃で、この期間は空気が澄んだ秋晴れが多く、紅葉が始まったり、夏の疲れが取れて体力が回復したりする時期とされています。いや~、今年の晩春から短い梅雨。いっきに長い猛暑続きで、体力もへたへたでしたね。やっと、あの猛暑から逃れたと思うとホッとします。

 さて、キャベツやブロッコリーなどの苗植付け、ダイコンやカブなどの種まきなどの大きな秋冬野菜栽培作業も後半戦に突入。この時期からは、エンドウやソラマメなど春採り豆類の栽培開始です。

甘くておいしいスナックエンドウ
豆ごはんに最高のグリーンピース

 エンドウなどの豆類は、生育上は堅強で育てやすいのですが、支柱立てやネット張りなどで茎、つるの支えが必要で少し手間を要します。栽培にあたって特に注意すべき重要なポイントは三つ。

 ◎連作を非常に嫌う作物で、4~5年は豆類を栽培したことのない圃(ほ)場を選ぶ必要があります。
 ◎つるは空中で折れやすく傷みやすいので小さいうちから誘引・支柱立てを念入りに行うこと。
 ◎葉に落書きをしたような模様がつくハモグリバエが葉を傷めることがあります。

 種まきの2週間ほど前に1坪当たり、かき殻石灰、または苦土石灰390グラム、1週間ほど前に完熟堆肥7キロ、基肥は少し控えめに有機配合肥料200グラムを施します。直立1条植えで、畝幅90センチ、畝高15センチ、株間30センチを目安として畝を作ります。

エンドウの畝作り(株式会社トーホク)
イラスト 株式会社トーホク

 1穴に種を3~5粒を点まきします。急な寒さで欠株を生じやすいので、10月の気温が高い時は、本葉が2枚くらいの小苗で越冬させるよう、少し遅まきし、さらに株元が霜などで凍らないようもみ殻などで防寒しておくと良いでしょう。

 育苗することもできますが、移植を嫌うので、もし育苗の場合、植え傷みしないように大きめなポットを用い、本葉が2枚までの小苗で植えつけてください。

 翌春には、1株から多くの側枝が株元から出るので、春先早めに1株3~5本立てに刃物で間引き、風通し、日当たりをよくします。つるが伸び始めたら2メートル以上の支柱を立て、ひもで誘引します。さやがつき始めたら追肥を行ってください。

 開花後収穫までの日数は、温暖期で20日くらいかかります。グリーンピースのように粒が十分に肥大して、さやがまだ鮮緑色で外観のよいときが収穫適期です。長さ7.5センチ、幅1.3センチが目安です。

 収穫後のエンドウ類は乾燥に弱く、鮮度が落ちやすい野菜の一つです。なので、直売所などでも数多く集荷されていません。鮮度が命のエンドウ。春には「スイートポピー」のようなかれんな花を楽しみながら、鮮度が高く、甘くておいしいエンドウの収穫を楽しんでみませんか。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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