株式会社ベビーフレンド㊦ 代表取締役 野中史晃さん(50)
このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで活動している企業や団体を取材し、その魅力を紹介します。芸術工学府修士2年、北垣玲音が前回に引き続き、クリーニング業界の最先端を走る株式会社ベビーフレンド(糸島市二丈武)の代表取締役、野中史晃さん(50)に、クリーニングで節水・高生産性を実現した洗剤「ダシュノン」についてお話をうかがいました。

-「ダシュノン」には、どんな特長がありますか。
「すすぎを不要にすることができる洗剤です。現在、当社では1日150トンの水を使っていますが、以前の洗剤を使用するのであれば250トンが必要で、100トンの節水につながっています。作業工程の短縮にもなり、50分かかっていた洗濯が15分に短縮できます」
-どういった原理ですすぎが不要になるのでしょうか。
「通常、生地はマイナスの極性を持っており、脂などの汚れはプラスの極性を持っています。ダシュノンには植物由来の界面活性剤が含まれており、これがマイナスの粒子で脂を包み込み、汚れを落とします。汚れを包み込むため、洗浄後も脂が再付着することなく、すすぎが不要になります」
-どういった経緯で導入されたのでしょうか。
「2021年に福岡市西区の合同会社ひなた製作所様の『伊都の国洗剤hinata』を導入したのが始まりです。工場長の家族が家でこの洗剤を使っており、『クリーニング用に応用できないか』とのアイデアが出されたのがきっかけです。一般消費者向けの洗剤を、ひなた製作所様と一緒になって事業者向けに開発しました」
-環境への負荷も小さいそうですね。
「ダシュノンは100%植物由来の原料で作られています。そのため、28日間でバクテリアが餌と認識できる大きさにまでに分解されます。もちろん、汚れをそのまま海に流すことはありませんが、万が一、事故で海や川に流れてしまっても安全です」
-環境を守る思いが強く伝わってきます。
「博多港で2021年に起きた貨物船の防波堤衝突事故を機に、環境にやさしい洗剤を使用する重要性を強く意識するようになりました。事故の際、燃料の重油などが海に流出し拡散してしまいました。この状況を深刻に受け止め、自分たちで環境のためにできる取り組みをしようと、強く思うようになりました。これからも世の中に役立つ企業として歩んでいきたいと思います」

取材を終えて
実際にダシュノンを使い脂汚れが落ちる実験を見せていただきましたが、一滴入れただけでも効果を感じました。洗剤にこだわり、業務効率だけでなく環境にも優しい取り組みをされている姿勢が伝わりました。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

