【糸島市】高校生が鳥獣被害現場学ぶ

長野集落センター 田畑見学、猟師から説明も

 糸島市の長野集落センターに10月15日、東京都内の和光高校の生徒が訪れ、糸島市猟友会の猟師から狩猟の現場について学んだ。同会の活動を通して、人と野生動物のせめぎ合いが続く地域の実情に触れた。

荒らされた田んぼを前に地域の現状を語る

 同校2年生23人は、探究授業「動物と人間社会」の一環で糸島市を訪問。同会の久保潤一郎会長は、くくりわなや箱わなを並べ、どのように狩りをするかを説明した。「わなに足を取られたイノシシは反撃のため突進してくる」と危険性を語り、とどめを刺すまでの手順も実演を交えて紹介。生徒たちは真剣な眼差しで聞き入った。

箱わなの説明をする久保さん

 国が推進するジビエ利用にも触れ「ジビエはくさいというのは誤解。捕獲後すぐ冷やすなど適切に処理すればとてもおいしく食べられる」と狩猟の魅力を伝えた。

 生徒たちは、周辺の田畑も見学。収穫間際だった田んぼにイノシシが侵入し、稲穂をしごいて食べたり、踏み荒らしたりした痕跡や、周辺の畑に残された大きな足跡を確認した。また、サルの群れが果実や野菜を悠々と持ち去る様子も紹介され、生徒たちはため息をもらした。

 久保会長は、黄色いセイタカアワダチソウが生い茂る耕作放棄地を指さしながら「サルにやられ、カラスやイノシシにやられ、アライグマにやられ、営農意欲が失われてしまう」と話し「やぶが新たな隠れ家となり、野生動物と人間との距離が近くなっている」と現状を語った。

 参加した生徒の一人は「年代も住んでいる環境も全く違う方の話を聞き、狩猟の大変さなど知らないことばかりだった。猟師さんのおかげで自分たちも安心して暮らせると感じた」と話した。

 糸島市では15日、イノシシ猟の猟期が解禁された。田畑への被害が年々広がっていることから、県の基準に準じ、イノシシとシカに限り通常より1カ月前倒しでのスタートとなった。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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