【糸島市】小中体育館にエアコン

糸島市が29年度までに設置

 猛暑の常態化と災害リスクの高まりを受け、糸島市は市立小中学校全22校(小学校16校、中学校6校)の屋内運動場(体育館)にエアコンを設置する方針を固めた。2026年度から着手し、29年度までの完了を目指す。多額の設置費用を計画的に確保するため、公共施設等総合管理計画第1期アクションプランと中期財政計画に盛り込まれる予定。

 今年、九州北部では平年より22日早い6月27日に梅雨が明け、35度以上の猛暑日が続いた。

 小中学校の屋内運動場は、教育活動の場であると同時に、災害時には二次避難所の役割も担う。市議会定例会の一般質問では、議員から空調設備の必要性が指摘されてきたが、市執行部は今年の3月議会で整備の必要性は認識しつつ、多額の費用を要するため先行自治体の技術面、費用面の実績の情報収集に努めるとの答弁に留まっていた。

 今年4月から7月までの猛暑による教育活動への影響調査では、体育・保健体育の授業は、小学校では、12校で延べ47日、95時間の中止や変更が生じ、中学校では1校で5日、延べ9時間の影響が出たことが分かった。

 修学旅行説明会や交通安全教室、全校集会など、学校行事の中止・変更は小中学校合わせて延べ9回。休憩時間の屋内運動場開放中止は、小学校15校で延べ約122日、中学校1校で1日に及んだ。

 同期間中に熱中症とみられる症状で体調不良となった児童・生徒は小学校で40人、中学校で8人に上り、小学校長会と中学校長会からは「屋内運動場のエアコンの早期設置」が要望された。

 市議会9月定例会の一般質問でも、議員が改めて小中学校の屋内運動場へのエアコン整備の必要性について質問。

 市教委は答弁の中で、昨年度までに整備を完了した宗像市など他市の小中学校を視察し、空調効率の点では、空気を直接冷やしたり温めたりする通常のパッケージエアコンに、冷水や温水が流れる配管を張り巡らせて空調効果を生み出す輻射(ふくしゃ)パネルの併用が効果的であり、断熱対策として気密性によっては複層ガラスサッシへの改修が必要であること、非常時の動力源としてリスク分散のため中学校はガス方式、小学校は電気方式に分ける点が参考になったと報告。

 「整備には設計に1年、工事に1年を要するため、全22 校の整備には概ね7校ずつ進め、計4年を要すると見込まれる」と説明した。

 月形祐二市長は答弁で「市民の生命身体を守り、次代を担う子どもたちの学習環境を確保するのは行政の最大の責務であり、屋内運動場の空調整備は急務であると判断した」と述べた。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

目次