伊都の杜自治会 チャットボット導入
「地域の集会所を使いたいけれど、いつまでに申し込めばよかったかな」「申し込みは使用日の3日前までです」-。そんな住民からの問い合わせに、24時間いつでも答えてくれる人工知能(AI)技術を活用した「自治会チャットボット」が、糸島市の伊都の杜自治会で動き出した。
チャットボットは、スマートフォンやパソコンから質問を入力すると、自動で回答してくれる仕組みで、ラインのトーク画面のように、会話するように質問できるのが特徴。開発したのは、同自治会の石長史康会長(35)で、自治会への問い合わせ対応を効率化し、地域のコミュニケーションを円滑にする新たなツールとして期待する。

同自治会では、行政区からの連絡や地域行事の案内などを、回覧板の代わりにラインで配信している。住民からの問い合わせもラインで受け付けており「サルが出た」といった目撃情報から、公園遊具の破損、イベント情報の配信依頼まで、多岐にわたる内容に一件ずつ対応してきた。石長さんは「企業ではAIによる問い合わせ対応が一般的になりつつある。自治会でも活用できるのでは」と考え、開発に乗り出した。
石長さんは「まちづくりにAIを生かしたい」と、今年4月に公務員からアプリ開発などを手がける企業に転職したばかり。急速に進化するAI技術を学ぶ中で、着想からわずか半年でチャットボットを完成させた。

AIには、自治会の規約や集会所利用ガイド、防犯カメラの運用規定など4種類の資料を読み込ませ、質問に自動で回答する仕組みを整える。移住して間もない住民の素朴な疑問にも対応できるほか、英語への翻訳機能も備え、外国人住民の利用も想定する。運用コストは低く、公開から半月余りで138件の利用があり、これまでの使用料は約5~6円。月に数十円程度で運用できる見通し。
導入にあたっては、必ずしも文書資料がそろっている必要はなく、現在行っている自治会活動を録音するだけで対応できる。「AIが音声データを文章化し、基礎データとして整理してくれる時代。導入のハードルは低い。導入したい自治会があれば対応します」と意欲をみせる。
石長さんがこのチャットボットに加えて期待するのは、地域の歴史や暮らしを語り継ぐ機能。長年住んできた人に昔の風景や行事を語ってもらい、その記録を蓄積することで「自治会にとどまらず『地域の暮らしチャットボット』にすることができる」と、将来の展望に目を輝かせる。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
