糸島の伝統野菜「芥屋かぶ」
江戸時代の記録から300年近くの歴史があるとされる糸島の伝統野菜「芥屋かぶ」。その貴重な地域資源を未来へとつなごうと、糸島農業高校の生徒を中心に、糸島市内の引津小学校や志摩中学校でも栽培の取り組みが広がっている。
一から育て店頭に
志摩中
12月19日には、糸島市志摩の志摩中学校3年生が授業で、初めて栽培に取り組んだ「芥屋かぶ」を、Aコープ志摩店とイオン糸島の店頭で販売した。「志摩中生が一から作りました!」と元気に呼びかけると、多くの買い物客が足を止めていた。

朝に収穫したものなど、約200株のカブと、同様に育てたサツマイモ約200キロを販売。接客で料理法の説明をしたほか、自作のサツマイモのレシピブックを配布したり、手作りシールなどが当たるくじ引きも用意したりと工夫を凝らした。

買い物に訪れた田川郁恵さんは「芥屋かぶを初めて知った。葉はピザのトッピングにもいいと聞いたし、実(み)は酢漬けにすると美しいピンク色になるそうなので、ぜひ挑戦してみたい」と笑顔で話した。
起業家教育の一環として野菜の生産と販売に取り組む同校では、本年度、生徒たちの会社「志摩レンジャー」を設立。「伝統をつなげたい」という企業理念のもと、地元特産の芥屋かぶに着目し、栽培実績のある糸島農業高校の生徒から指導を受け、生産に取り組んできた。
会社は「生産部」「販売促進部」「開発部」「人事管理部」の4部門で構成され、社長を中心に各部長が活動を指揮し、この日の販売を迎えた。19人のメンバーをまとめ、予算管理などを担当した人事管理部の黒澤葵音さんは「メンバーに仕事を割り振る難しさを感じた。Tシャツ一つでも数社から見積もりを取るなど大変だったが、自分たちで育てた野菜はとてもおいしい!」と目を輝かせた。
当日は、食用にできなかったカブの赤紫色の漬け汁で作成した「染め紙」を使ったブックカバーなどの雑貨も販売した。社長の水﨑里桜さんは「生産から販売まで、多くの外部の方に関わっていただき、つながりの大切さを実感した。失敗をそのままにせず、どう生かすかを考えることで新しい商品も生まれた。無事に収穫までたどり着けて一安心だが、後輩たちには営業や試食、販売方法など、さらに工夫を重ねてほしい」と取り組みを振り返った。
大きく育てて収穫
引津小
12月9日、引津小学校では芥屋かぶの収穫が行われた。2年生の生活科の授業で毎年栽培しており、この日は30人が、糸島農業高校の生徒や、芥屋かぶの伝承に尽力している芥屋在住の東紀子さんと一緒に活動した。

茶色い土の中から、芥屋かぶ特有の赤紫色の肩が顔を出し、晩夏にまいた種は立派なカブに成長していた。「これまで見た中で一番大きい!」と高校生もびっくりの出来。児童たちは、つやつやとした青い葉が茂るカブの葉を両手で抱え、力を込めて引き抜いた。まるで絵本「大きなかぶ」の一場面のような光景が広がり「大物とったー!」とあちこちから歓声。芥屋かぶ特有の勾玉(まがたま)の形をし、ラグビーボールを思わせる立派なカブが次々と収穫された。
収穫後は、種まきから活動を共にしてきた糸農生や東さんに向けて、ダンスや歌を披露し、交流を深めた。

(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
