【糸島市】馬が引き出す子どもの力

MUKAで働く和種ポニー「ギンガ」

 馬とのふれあいや乗馬を通して、心身の両面で効果が期待されるホースセラピー。糸島市志摩の社会福祉法人・香月福祉会「MUKA」では、障がいや多様な特性を持つ子どもたちを対象に、毎週末ホースセラピーを実施している。セラピー馬として活躍するのは、23歳の和種ポニー「ギンガ」。体高約100センチのずんぐりとした体形で、子どもたちにも親しみやすいのが特徴だ。

馬上でボールをパスするなど馬と一体となりながらさまざまな活動を行うホースセラピー

 昨年11月16日、森や畑に隣接した馬場には、乗馬の順番を待つ子どもとその家族の姿が見られた。常連で、福岡市内から訪れた小学5年生の中村咲希さんは、静かにたたずむギンガに駆け寄り「こんにちは!よろしくね」と明るく声をかけた。

 スタッフの岩下香織さんの介添えのもと、咲希さんはギンガの背にまたがる。馬をひく役のスタッフと、騎乗者の安全を見守るサイドウォーカーの計3人がチームとなってセラピーは進む。乗馬しながらの輪投げや、鞍の持ち手から手を放してスタッフとのハイタッチなど、ギンガのゆったりとした揺れに身をゆだねながら、咲希さんはさまざまな動きに挑戦した。降りた後には餌をやりながら「おいしい?ギンガ」と声をかけ、しっぽからたてがみまで優しくなでた。

 岩下さんは「馬にも性格がありますが、ギンガはとてもセラピー向き。食いしん坊なところはありますが、穏やかで少々のことでは動じません。安心して乗ってもらえます」と太鼓判を押す。

 馬介在活動の国際インストラクター資格であるHETIレベル1インストラクターと理学療法士の資格を持ち、重度障がいのある子どもたちと関ってきた岩下さんのもとには、重度の肢体まひがある子も体験に訪れる。馬の背で揺られることで、全身の筋力やバランス感覚が養われ、関節が柔らかくなるなど、身体的改善がみられるという。

 仕事を終えたギンガは、近隣で飼われている2頭の仲間とともに過ごす。餌やりや馬小屋の掃除、ひき馬での散歩などは、MUKAの利用者の仕事の一つ。「馬の息遣いや体温に触れ、自分より大きな動物との距離を測り、思いやる体験を重ねることで、日々の生活に張りが出て、明るく変化した利用者さんもいる」と岩下さんは語る。

ギンガと共に過ごす馬仲間と岩下さん

 「馬はじゃれついてくるわけではありませんが、ふと見せる信頼の情が心に染みます」。人を癒やし、支え、ともに生きるパートナー。ギンガを中心に繰り広げられるホースセラピーの現場には、馬の持つ包容力と、人の変化を引き出す力が満ちている。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

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