【糸島市】可也山 糸島の象徴② ー心のよりどころー

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ママライター魅力を紹介

 筑紫富士、糸島富士と呼ばれる可也山。標高365メートルという低山でありながらも、独立峰としてそびえる山容は、古くから現在に至るまで糸島の象徴として多くの人に愛されている。遠くからその雄大な姿を眺める人、山を訪れる人、日々の暮らしに山が密接しているなど、可也山にはさまざまな結び付きを持つ人がいる。本特集では、ママトコラボ取材班が可也山に敬意を抱き、大切に思う人々を多角的に取材し、可也山が単なる風景ではなく、糸島の人の心のよりどころであり続ける姿を紹介する。

森林を守り続ける人々

親山行政区の山林委員会会長 溝口良和さん(63)
旧親山生産森林組合長 熊本照美さん(74)

曽祖父の名も知る間柄の溝口さん(左)と熊本さん(右)

 可也山の北の裾野にある親山(おやま)地区に住む人々は、先祖代々森林を守ってきた。溝口良和さん(63)は2年前から親山行政区の山林委員会会長として、8名の役員と共に地域の森林整備活動を主導している。年に数回、山頂に続く作業道の修繕整備や清掃を行い、山の維持管理に尽力している。「作業は体力勝負。重機を使うなど負担を減らしてみんなに参加してもらう工夫をしている」と語る。「誰かがけがをすると、前向きに活動できなくなる」と安全面にも配慮し、チェーンソー講習会なども開催している。

作業道を重機で修繕し汗をかきながら側溝の泥をすくう

 「親山地区では大正時代から、地域で所有している共有林を守ってきた」と語るのは、旧親山生産森林組合長の熊本照美さん(74)。同組合は林業の発展を目指して1953年に設立され、山の中腹にある親山虚空蔵堂(こくぞうどう)の祠(ほこら)を可也山の木を使って再建したり、災害対策のために作業用車道を造ったりしたという。

森林整備のため休日に集まった親山の皆さん

 しかし高齢化などの影響による地域住民の減少に伴い、10年前に組合は解散。現在は山林委員会という名で、森林整備と管理のみを引き継いでいる。溝口さんは「この地に生まれて住んでいるからには、何とか山を守っていきたい。登山をする人がごみを拾うだけでも助かっています」と語り、可也山を訪れる人との支え合いに期待を寄せた。

 (村田実咲)

週1回登山 15年で700回

糸島山歩会会長 豊島紘治さん(81)

「ありがとう可也山」の思いを胸に登る豊島さん

 毎週水曜日の朝、糸島山歩(さんぽ)会のメンバーは師吉の登山口に集まる。会員は60代から80代までの男女32人。2011年から悪天候の日を除き、可也山に毎週登り続けている。

 会長の豊島紘治さん(81)が登山を始めたのは2000年。「山が呼んでいるんです」と話す。可也山へは最初は4~7人ほどで登っていたが、回数を重ねるうちに仲間が増えた。毎週登るからこそ、新緑や紅葉、花々の開花と季節の移ろいがよくわかるという。山頂では豆からこだわったコーヒーをいれ、お菓子を食べながら仲間と語り、親交を深める時間を大切にしている。

山頂付近でコーヒータイム。仲間との時間を楽しむ

 登山口から山頂まで、約600段の階段があり、往復2時間ほどかけて登る。「低山でも侮れない」と豊島さん。台風後の倒木撤去や、大雨で土が流れた階段の修復は、会員が力を合わせて行う。「登らせていただいている山だから」と。500回の節目には可也神社で神事を行い、山への感謝とともに会員と登山者の安全を祈願した。

登山前、気合を入れる会のメンバー

 会は昨年12月、登頂700回を超えた。「故郷の山として親しみと誇りを感じる。仲間同士の励ましと笑顔があるから続けてこられた。次世代につなげ、1000回を目指したい」と語る豊島さんは、次の一歩を見据えていた。

 (碓氷朋代)

園児が兄と登山に挑戦

可也幼稚園年長 朱雀絢翔君(6)

可也山山頂にて

 可也幼稚園では、年長組が毎年可也山登山を行っている。今年も全員が無事登頂したという。その数日後、同園に通う朱雀絢翔(あやと)君(6)は、兄の叶真(とうま)君(9)と幼稚園での登山の様子や山への思いを話しながら、再び可也山に登った。

可也山中腹にある石切場跡。大きさに驚く

 階段がとても多く、大人でも息が上がる斜面を2人はどんどん登っていく。「山火事注意の看板と石切場跡、第1展望所で休憩したよ」「先生が危ないところに立ってくれて、僕たちの手を支えてくれながら登ったんだ」と、覚えている場所を示す。呼吸が乱れ、スピードが落ちても、軽々と階段を上がる兄弟。同行した母亜唯美(あゆみ)さんは「一度登ったことが自信になったのだと伝わります」と話した。

 可也神社を参拝し「次は頂上だよ」と先導する絢翔君。山頂に着くと、登山客が積んだ石の上に選んだ石を置いた。さらに進み、視界が開けて青い空が広く見え出すと、2人とも一気に走って展望台に到着。可也幼稚園登山時に設置した記念の木ぐいを笑顔で眺めていた。海にくっきりと映える姫島や唐津市の加部島を望みながら、手作りのおにぎりをほおばった。

展望台で食べるおにぎりは最高

 「きつかったけど楽しかった。また登りたい」と下山した可也山を背に話す絢翔くん。表情は達成感に満ちていた。

 (大和愛子)

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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