一年を振り返り 失敗から学ぶこと大切に
冬の海は荒れていますね。特に玄界灘は北西の風が強く、海が荒れると、地元の漁師である義理の父はタコ漁の網の手入れなどをしています。「昔はアワビやサザエ、ウニもいっぱいおった。魚もどんどん釣れよったなあ」「今はペットボトルや発泡などのゴミが流れついとるが、昔は海の荒れた後の海岸には、いっぱい海藻のうち上がっとった」と振り返ります。

そこで、今回は、あくまでも実験ということで、打ちあがった海藻を少し回収し、植物にどのような作用性があるかチャレンジしてみました。

私の幼少期の経験や文献を確認すると、確かに海藻は土作りの一環として、畑や果樹園などの土に混ぜ込まれていたようです。まだ、化学肥料などが普及していない時代、牛ふんや鶏ふんなどの畜産系堆肥は作物栽培にとって貴重な肥料であり、海が近い農家さんでは、ミネラルを含んだ海藻や貝殻、かき殻なども土の肥やしとして利用されていたようです。
貝殻やかき殻は、カルシウムをたくさん含んでいますので、土作りに欠かせない存在です。種類によりますが、海藻自体の成分を見てみますと、チッソやリン酸などの成分は低いですが、マンガンや亜鉛など微量要素などが種類多く含まれています。
また、アルギン酸、フコイダンなどの多糖類やアルギニン、グルタミン酸などのアミノ酸も含まれ、どちらかというと作物をぐんぐん成長させ、強く育てるための栄養成分となっています。
今回、海藻を使った生育試験にあたり、以下のような点に注意して行ってみました。
〇大量に回収しない。含水分が多く腐敗しやすいため、資源として生育試験を行う程度採集。
〇採集後、一度、真水に浸漬(しんし)し、その後、脱水、風乾させる。
〇乾燥した海藻を細かく寸断し、土の表面に置く。

臭気や分解される様子などと一緒に、緩慢な生育時期ではありますが、作物の変化を見ていきたいと思います。
今から22年前、JA糸島勤務時代に、生ごみリサイクル段ボールコンポスト「すてなんな君」を開発。地元住民の方や糸島市、JAと一緒になり、ゴミ減量化活動を行いました。同時に、生ごみと微生物による元気な土作りについて皆さんと共有。大変、やりがいのあった仕事でした。まだ、SDGsの取り組みがスタートする前のことでした。

豊かな山、海、田畑に囲まれた糸島。糸島ならではの大地を大事にする仕組みづくりに向け、当時、海岸から海藻を採集し、優良な肥料にならないかなども取り組んでもいました。
今からの農業は、全国的に農業人口が減少し続け、大型農業機械で広い面積を耕作する大規模農業へと変わっていきます。しかし、農業は元気な土作りが基本ですから、失敗してもこつこつチャレンジし、私なりに豊かな土作りのヒントを探っていきたいと思います。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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