株式会社井上ピッグファーム㊤ 代表取締役、井上博幸さん(63)
このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで事業活動している企業や団体を取材し、その魅力を紹介します。今回は、文学部1年、角田真都がおいしさにこだわり抜いた「糸島豚」を養豚している株式会社井上ピッグファームの代表取締役、井上博幸さん(63)を取材しました。

-糸島市では「糸島豚」というブランド名で、生産者が良質な肉質とやわらかな食感の豚を育てられていますね。糸島豚には、基準などがあるのですか。
「九つの養豚場で糸島豚が育てられていますが、特別な基準はありません。脂質の甘みやうまみが味わえるよう工夫して飼育し、付加価値をつけて販売しています。こうして、それぞれの養豚場が個性を生かして育てた豚をトータルして糸島豚と呼んでいます」
-御社では、どんなところにこだわりを持って育てていますか。
「良質な肉質と味は、飼料が決め手になっています。豚の食べるエサで、肉の締まりや脂の質がすべて決まります。ですから、豚の成長に合わせて作ったオリジナルのエサを与えています」
-飼料にはどのようなものを使われていますか。
「飼料のほとんどはトウモロコシですが、米や麦も混ぜています。米は肉に含まれるオレイン酸の量を増やし、脂肪の甘みが強まります。麦はビタミンEが豊富で肉の締まりを良くします。締まりが悪いと、肉の内部からドリップが出てしまい、うまみが逃げたり、見た目が悪くなったりします。ただ、麦は豚の発育速度を遅らせてしまいます。豚は経済動物なので早く成長させて出荷させれば利益率が上がります。しかし、ゆっくり成長させ、丁寧に育てることで、より肉質の良い豚に育ちます」
-タンパク質はどのように与えていますか。
「強い豚にするためには大切な栄養素ですね。エサとしてホワイトフィッシュミールという白身魚から作られる魚粉も与えています。多くの養豚場では最近、出荷前に動物性タンパク質を与えず、植物性タンパク質を与えるようになっています。動物性タンパク質は獣臭さの原因になるからです。しかし、ホワイトフィッシュミールは魚の内臓などを含まない魚粉なので、肉に獣臭さが出にくいメリットがあります。そして、動物性タンパク質なので、豚もしっかり成長しますね」
-安全・安心に向けたこだわりもあるそうですね。
「抗生物質の量を極端に少なくしています。一般的に生まれてから130日ぐらいまで抗生物質が入ったエサを与えます。ブタが病気になったら、利益が一気に下がりますからね。ただ、当社の農場では、抗生物質は生後80日までしか与えないようにしています。動物性タンパク質を与えているのは、それを可能にするよう病気に強いブタに育てていくためでもあります」

次回は、肉質を良くするための施設の工夫と、今後の養豚業に向けた思いについて深掘りします。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

