【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.156(2/13号掲載)

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樹木管理でウメノキゴケ対策

 この時期は、春の気配を感じつつも、まだまだ寒い日が続きます。しかし、今月下旬にはバレイショの種イモの植え付けが始まったり、トマトやナスなどの春夏野菜栽培計画を立てたり、どんな堆肥を使ったら、土が元気になるのだろうなど千思万考されているのではないかと思います。

 2月はいろんなイベントも多くアッという間に月日が過ぎますね。そんな忙しい中、この時期に多く相談をうけるのが、樹木管理法。今から春に向けて、樹木類は新芽が吹き、樹木の生育活動が活発化していくので、まだ寒いこの時期は、落葉系樹木、果樹類の移植や軽い剪定(せんてい)などをするラストチャンスと言えます。

 今の季節の落葉樹は、幹と枝状態で樹皮が露出していますね。すると、樹木の表皮に灰緑色のコケみたいなのが発生し、一見、風情があるように見受けられますが、広範囲に発生すると見た目が悪く、樹木の鋭気も薄れているように見えてきます。

 このコケのような物質は「ウメノキゴケ」。古くから日本画にも描かれ、私たちになじみのある地衣類です。地衣類は菌類の仲間で、藻類と共生して地衣体という特別な構造を作っています。菌類は藻類が作る光合成産物を栄養として利用し、一方で藻類を乾燥や紫外線から守っている共存性の生き物で、高山の岩場やコンクリート上など厳しい環境の中でも生きていくことができるというわけです。

梅の表皮についたウメノキゴケ
五葉松のコケ

 着生地衣類は、大気環境指標として有用で、特に二酸化硫黄(亜硫酸ガス)に対する感受性が高いことが知られており、空気のきれいな場所で育つ樹木類に発生が多くなるのもうなずけます。

 対策のポイントは以下の通りです。

 ◎ウメノキゴケは弱った木につきやすく、剪定で風通しと日当たりを良くしてあげることが重要です。活性液などを株元に与え、体力をつけさせてください。木の代謝を高めることで自然に生えにくくなります。
 ◎ブラシで擦ることもできますが、大切な樹皮までを削ってしまうことがあるので、あまりおすすめいたしません。
 ◎効果は遅効的ですが、 酢(酸性)に弱い性質を利用し、水で薄めた酢(希釈率200倍程度)をスプレーしたり、はけで塗布したり、登録農薬(Zボルドー水和剤や石灰硫黄合剤など)を全体に散布。

食酢を300倍に薄めて表皮に散布。コケが弱ってくる

 ただし、ウメノキゴケは病気ではなく地衣類の一種で、先ほど記述したように弱った木に付着します。対処後も再発しやすいため、木の健康管理が重要だということを忘れないでください。近年の天候は、冬の後に、短い春が過ぎていき、一気に高温乾燥に近い、夏型気候へ進んでいます。樹木、果樹類はこの時期にしっかり養生してあげると、青々とした枝葉と充実した実の収穫へとつながっていきます。 

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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