株式会社井上ピッグファーム㊦ 代表取締役 井上 博幸さん(63)
このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで事業活動している企業や団体を取材し、その魅力を紹介します。文学部1年、角田真都が前回に引き続き、良質な肉質と味にこだわり抜いた「糸島豚」を育てる株式会社井上ピッグファームの代表取締役、井上博幸さん(63)にお話をうかがいました。

-前回は飼料にこだわる大切さをお聞きしました。飼育の環境では、どのような工夫をされていますか。
「温度や湿度の管理を厳格に行っています。豚は汗をかくことができないので、夏の暑さに極端に弱いんです。また、豚舎の中には、豚がたくさんいるので、体感温度も高くなってしまいます。そのため夏場は、気温が上がっても30度までに抑えられるシステムを導入しています。冬場も寒くならないように豚舎の中を温めていますね。特に、生まれたての子豚は最低でも室温が26度以上ないといけないので、電気やガスを使って温度を保っています。加えて、豚は肺炎になりやすいので、乾燥しないようにしています」
-温度管理は、繁殖にも大切なのだそうですね。
「温度によって、受胎率や泌乳量などに影響が出てきます。当社の養豚場では、豚の分娩(ぶんべん)から出荷までの一貫経営をしていますので、繁殖豚の温度管理はしっかりと行っています」
-室温を保つために、コストがかかりますね。
「夏場だと、電気代は月に200万円は越しますね。冬は、電気代は安くなりますが、その分ガス代が高くなります。大きなコストがかかってしまいますが、おいしい豚肉をみなさんにお届けするためです」
-環境問題への取り組みもされていますね。
「豚の糞(ふん)と尿を堆肥化して、糸島市の農家に使っていただいています。糸島は観光地として注目を浴びていますが、糞尿で作った堆肥を農地で利用すると、嫌な臭いがすることがありますよね。このため、現在は糸島市内の畜産農家から集めた動物の糞を1カ所に集めてペレット化した堆肥を作ろうと考えています。ペレット化した堆肥は嫌な臭いがしないので、観光客には、糸島の豊かな自然を心地よく感じてもらえるようになると思います」
-40年前までは、糸島市には250人ほどの養豚農家がいたそうですね。数は減ってはいますが、新しい時代の養豚業が動き出していると感じました。
「第1次産業は基本的に自ら作ったものに値段を決められません。しかし、付加価値をつけて販売できるようにすれば、もうかる農業が実現でき、次世代につないでいけると考えています。畜産農家と耕種農家が連携し、堆肥を資源として循環させる取り組みも、糸島ブランドを高めることになると思いますし、それを広く発信することで糸島の農業を盛り上げていきたいと思います」

取材を終えて
おいしい肉質の糸島豚を育てるためのさまざまな工夫を知り、驚きました。付加価値をつけるためのこだわりによって、糸島ブランドが強化されていることに感動しました。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

