【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.158(2/27号掲載)

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高温乾燥に強い根づくりを

 元気な作物づくりの応援に向け、私が今年テーマとしている一つが「堅強な根づくり」。野菜や草花の青々として艶がある茎葉やかれんな花を見ると、しっかりと育てられているなとうれしくなります。でも、いつも「土の中の根の成長はどんなだろう」と疑問を持っています。

 茎葉がしっかりしていても本当に根はいきいきと元気に育っているのだろうか、窮屈で無理してストレスを感じているのではないかなどと、心配になることがあります。そもそも私が立てる仮説では、根の強さはいろんな生育ストレスに打ち勝ってくれるというものです。

 植物は日照不足になれば、光合成機能の低下で、生育が衰えますし、病害虫で茎葉が被害にあうと、鋭気を失っていきます。ただ、こうした要因とともに、今までの植物管理の経験からすると、植物の生育を止めているのは、根の状態が原因となっていることがあります。弱っている植物の根を確認すると、黒く傷んでいたり、細かい白い根の発生が少なくなっていたりしています。

根の生育試験中の麦の根
30㌢も伸びたカブの根

 そして、高温乾燥の気候変動によって、植物の根に強いストレスを及ぼす可能性がでてきています。昨年の秋以降、九州北部(山口含む)では、低気圧の影響を受けにくく降雨不足が継続しています。10月中旬~1月、平年の3割以下の降水量となる地域もあり、筑後川水系のダム貯水率が低下するなどして渇水状況となっています。十分な雨が降り、大地の潤いとダムの貯水率が回復してくれることを祈っていますが、気温の上昇、降雨不足などによる「高温乾燥」がこれからさらに強まることが懸念されます。

貯水率が低下した寺内ダム(2月12日)

 昨年の九州北部の梅雨入りは5月16日頃で、6月27日頃には早くも梅雨が明け、降水量は平年の7割ほどでした。短い梅雨の後は、猛暑、熱帯夜に加え、夕立も降りにくくなり、さらに秋冬期の降雨不足。植物にとって、乾燥という強いストレスに打ち勝つ自己環境づくりが必要と言えます。

 そこで、どうしたら、高温乾燥などに耐える根を育てることができるのか。今、研究しているのがあえて水分を減らしても変わらずに生育が進むのかなど、発根剤や微生物などを使って研究を進めています。そう簡単に結果は出ませんが、コツコツと時間かけて成果が出るよう取り組んでいます。

 近年の野菜や果樹などの流通が減少している要因が高温乾燥による生育不良。今後は気候変動という不確実なリスクと向き合っていかなければなりません。生育ストレスが強くなっても、堅強な根は、栄養素の高い葉やおいしい実が収穫できるよう支えてくれると考えています。根気強く研究を続けてまいりたいと思います。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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