【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.160(3/13号掲載)

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雑草の驚きの強さ

 今年1月から2月にかけての気候の特徴は少雨。太平洋側に雨をもたらす「南岸低気圧」の発達に必要な湿った空気の流れが、海上の強い風で遮られていることが原因ではないかと言われています。九州地方整備局によると、筑後川の中上流域の昨年10月から2月5日までの雨量は114ミリ(平年比36%)で、1975年以降の同時期で過去最少となったそうです。

 キャベツやダイコンなどの露地野菜が少雨により、太りが悪くなり、価格も高めでした。本年、私の試験農場では、サトイモやエダマメなどの試験栽培を計画しており、ほ場の準備を始めました。先週まとまった雨が降りましたが、それ以前は、トラクターなどで耕起作業する時、土が乾きすぎている影響で、うまく土が掘り起こせない状況でした。これから、さらにしっかりと雨が降り、土中深く水分が染み込んでくれると助かるのですが。

 耕起作業を進める前に、表層に黄色く枯れたイネ科の雑草が生えています。このまますき込んでしまうと、トラクターの爪に繊維質の強い雑草が絡んでしまうので、周囲に気を配りながら、少しずつ野焼きをしました。乾燥状態ですので、サッと焼けていきます。驚いたのは、枯草で地表が見えなかったのですが、焼け跡には、青々した雑草が低くびっしり生えています。葉の上の枯草が燃えていたのにもかかわらず変色していません。葉内に水分を含んでいるので、熱い火にあたっても変色しないのでしょうか。

ほ場に広がる枯れたイネ科雑草
乾燥状態で雑草を野焼き
火にも耐え青々とした雑草が現れる

 感心するのは、強さしたたかさです。少雨で乾燥状態なのに、しっかり体内に水分を充填(じゅうてん)しているしたたかさ、熱い火の影響にも負けない強さ。私の感覚ですが、雑草全体が年々強くなっているように感じます。少ない土壌養水分、硬い土など、決して生育するには条件が良くない場所で育つ雑草は生き延びるための強さを持っているのでしょう。

 昨年の夏の高温乾燥、今年初めの少雨乾燥。そのような気候で生育が益々厳しくなっているブロッコリーやトマトなどの各種作物。一方で、雑草の中には、在来種では考えられないほどの繁殖力をもつ外来性植物があります。例えば、カタバミ類=イラスト=やワルナスビなどは身近な雑草で、管理が届かない場所などでの生育力は驚きです。

 特にカタバミ類は、根の周りに「木子(きご)」と呼ばれる新しい小さな球根をびっしりと付け、これらが散らばることで急速に増えるため、茎葉だけを取り除いてもその繁殖力を抑えることは非常に困難です。皆さん、「オキザリス」ってご存じですか。クローバーのような葉っぱの球根植物で、ピンクや黄色、白色などさまざまな品種があるカタバミ類の仲間です。

 一見、ハート型の愛らしい葉と、陽の光を浴びてパラソルのように開く花が特徴的な、秋から春にかけて楽しめるかれんな小花が魅力ですが、これがまた問題。環境が合えば庭で野生化する代表的な植物です。一度定着すると駆除が非常に困難です。原産国は、熱帯から亜熱帯地域の南アフリカと中南米で、かわいくて、育ちが強いと観賞用として導入されたのですが、近年の高温少雨乾燥化で、さらに生育の勢いを増し、雑草化しているようです。これも環境問題の一つかもしれんませんね。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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