甘夏を知り合いからいただき、早速、旬ならではの甘みと爽やかな酸味を楽しむことにした。一つ目を袋から取り出したとき、ちょっと気になるところがあった。黄色く色づいた皮に、包丁の切れ目が入っていた。ほかの甘夏も見てみると、やはり大きな切れ目。どこか解せないまま、皮をむくうち、頬が緩んできた▼最初に見た瞬間、贈り物に切れ目はないだろうと考えていたのはただの思い込み。切れ目があると、親指で硬い皮を突き破る手間が要らず、簡単に皮をむくことができる。こうした心温まる気配りが甘夏と共に贈られていたのである。同じ事実であっても、視点次第によって、受け止め方はがらりと変わってくる▼「とらえ直し」という怒りを鎮める感情調整法がある。怒りがこみ上げてきたとき、感情を抑え込もうとするよりも、別の見方をして状況をとらえ直してみる。たとえば、天候不良で電車が遅れてイライラを募らせているとき、鉄道会社は安全をしっかりと確認してくれているんだと、気持ちを切り替えてみる。怒りは感謝へと変わる▼心理学では、こうした思考法を「リフレーミング」と呼ぶ。状況の枠組み(フレーム)をとらえ直すという用語。具体例として、よく取り上げられるのは、水が半分入ったコップ。そのコップを思い浮かべたとき、「半分も入っている」と思うか、「半分しか入っていない」と思うのか▼コップは空であるという状態を基準とする枠組みなら前者、コップは満たされているものとする枠組みであれば後者。何かに行き詰ったとき、そのことばかりに気をとらわれてしまうが、枠組みを変えることで、困難の打開につながっていく。否定的な言葉を前向きに言い換えるリフレーミングもある。「失敗」なら「学びの機会」、「弱点」なら「改善点」など。時間軸でも枠組みを変えることができる。今起きている出来事は10年後の自分にとってどれだけ重要か。こうして視点を広げてみると、くよくよしていた自分が消え去っていく。感情を安定させる方法として、とらえ直しを心に留めておきたい。
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