サトイモの栽培準備
サトイモの種イモの植え付け時期が近づきました。サトイモの歴史は、たいへん興味深く、日本では稲作が始まった縄文時代後期よりも前に渡来し、カンショやバレイショが渡来する江戸時代までは「イモ」と言えば「サトイモ」のことを指していたそうです。古くから日本の食文化に根付いていたサトイモは、現在も子孫繁栄の縁起物として、煮物やお供え物として、大切に利用されています。しかし、近年は、食文化の欧米化や生産者の高齢化により、栽培面積、生産量ともに減少傾向にあります。
さて、栽培に関しての重要点。サトイモは高温多湿を好み、乾燥に非常に弱いため、豊富な水やりと土寄せ、この二つの管理が成功の鍵と言えます。サトイモは水を非常に好む作物で、特に梅雨明けから8月下旬の夏場の乾燥時期に水不足になると葉が枯れ、生育が止まってしまいます。特に近年の夏は、熱射(日射)が強いのに加え、夕立も少なく、強乾燥状態が続いています。

もし、畑に引き込み水があれば、「やりすぎても問題ない」と言われるほどなので、畑の畝間などにたっぷりと水が行き渡るように灌水(かんすい)することが重要です。
次に「土寄せ」。子芋や孫芋を大きく、たくさん収穫するためには、生育に合わせて複数回(一般的には草丈20~30センチ程度になった頃)から土寄せを行う必要があります。
土寄せは、地上に出てきたイモに土をかぶせて新たなイモが太るスペースをつくり、肥大を促す作業です。イモは暗い場所で育つため、土を盛ることでイモの形成を助けます。

生育のフォローアップは「芽かき」。サトイモの本葉が3枚程度になる頃に、株元から脇芽が伸びてくることがあります。そのまま伸ばしてしまうとイモが小さくなったり、形が悪くなったりすることもあるため、取り除くことがおすすめです。ただし、品種や栽培環境によっては、省略しても問題ないでしょう。
サトイモ栽培の難易度はそう高くなく、特定の病害虫(アブラムシやヨトウムシなど)の予防に努めておけば、栽培しやすい品目です。土作りも柔らかいふかふかの土になるほど、粘りのあるおいしいサトイモが育つので、堆肥は欠かせません。種類は、畜産系フンが多い堆肥より、ワラや樹皮などの植物繊維質系の堆肥が、保水力が高い膨潤な土にしてくれるので、おすすめです。一般的には、完熟樹皮堆肥を1坪当たり10キロと多めに入れると良いでしょう。肥料成分が低く、土作りに貢献してくれます。
十五夜が「芋名月」と呼ばれるのは、サトイモの収穫時期にあたる秋に、月に収穫への感謝を込めてサトイモを供える風習があったためだそうです。伝統文化となっている日本の食の素材であるサトイモ。春に植え付けし、猛暑や台風を乗り越え、朝晩の冷え込みを感じ始めた初秋からの収穫が楽しみなります。今年は、自家菜園で粘りの強いサトイモ栽培をしてみませんか。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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