【糸島市】「科学の村」実現化へ

SVI 市と三者協定締結

 九州大伊都キャンパス西側の未活用地(糸島市志摩馬場、約60ヘクタール)に“真の学術研究都市”をつくる「糸島サイエンス・ヴィレッジ(SVI)の実現化」を、第2次長期総合計画の重点課題プロジェクトに位置付ける糸島市と、SVIを実現するために設立された「一般社団法人SVI推進協議会」(馬場貢代表理事)、同協議会が策定した「SVIまちづくり構想」の実現に向けた事業主体となる「イトシマ株式会社」(平野友康社長)が16日、同市役所でSVI実現に向けた連携協定を締結した。

協定を締結した月形市長(中央)と一般社団法人SVI推進協議会の馬場貢代表理事(右)、
イトシマ株式会社の平野友康社長

 2021年10月に市と九大、民間企業、金融機関で設立されたSVI推進協議会が23年10月、同構想を策定。同キャンパス西側エリアに、さまざまな分野の企業や研究者、教職員、学生などが交流しながら、技術革新や新産業が生まれる「科学の村」を創出する。

 構想では、健康、交通などの研究分野や学生街などの単位でユニットを形成。それぞれのユニットは、「人が歩いて散策し、憩える空間」を目指し、野球ドーム1個分(約3ヘクタール)ほどの大きさとする。ユニット間は遊歩道でつなぎ、自動運転ロボットなどが歩行を支援。建物の屋根には太陽光パネルを取り付け、再生可能エネルギーと直流給電によるエネルギーの地産地活にも取り組む。

 各ユニットの通信・エネルギーのインフラ基盤には、生成AI(人工知能)を組み込み、小型のデータセンターの設置により、データをその場で処理する技術を活用。高速通信技術「ローカル5G」とユニット内の人、物、環境などに取り付けたセンサーでリアルタイムにデータを収集・活用することで、効率的で安全なまちの運用を可能にする。

 民間主導で構想を実現するため、同協議会と協議会の構成員(まちづくり担当)である「株式会社メタコード」(本社・糸島市)が出資し今年6月、「イトシマ株式会社」を設立。資本金は600万円。役員・社員合わせて4人。

 市は同協議会が行うローカル5Gの実証実験などの費用として、企業版ふるさと納税を原資に本年度2340万円を負担。同協議会から同社には、資本金の出資や土地利用計画の作成などの業務委託を行う。

 締結式で月形市長は「九州大学の存在は、ほかの自治体にはない糸島市の強み。三者で協力し、九大学研都市の一翼を担うSVIの実現に向け、しっかりと取り組みたい」、馬場代表理事は「SVIはまちづくりの課題を科学の力で解決する、今までだれもやったことのない、ゼロからのまちづくり。行政の信頼性、協議会に集まった各法人・金融機関の熱い思い、イトシマ株式会社の行動力・スピード感の三つを合わせ、SVIを実現したい」。

 平野社長は「生成AIを積極的に活用した日本初の試みとなる。ここを起点に、最終的には地方創生のロールモデル(成功事例)となるまちに育てたい」と意気込みを語った。

 市学研都市づくり課によると、今年度中に具体的な土地利用などを定めた事業計画を策定し、2年後の事業着工を目指す。

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