【糸島市】前原山笠

日差しに負けぬ勢い

 糸島市前原中央の老松神社(大神正徳宮司)で7月25日、夏越祭(茅(ち)の輪神事)が行われた。境内には茅の輪が設置され、前原地域の夏の風物詩として定着する前原山笠が、沿道からの勢(きお)い水を浴びながら街中を元気に駆け巡った。

入道雲を背に力を合わせてみこしを担ぐ 

 祭りには、前原地域の11町(行政区)から、大人山笠7台と子ども山笠9台が参加した。コロナ下で中断を余儀なくされていたが、昨年から復活。同神社の神様をみこしに移し、みこしが町内の氏子区域を回って疫病を鎮め、災害を追い払うとされる。

出発式
出発式お祓い

 今年の山笠の当番町を務めたのは前原西町。同町山笠実行委員長の野口治光さん(59)と区長の吉丸俊幸さん(67)が中心となり運営の準備を進めてきた。この日は最高気温が同市で36度に達する厳しい暑さとなったが、祭りは元気に進行した。糸島警察署前での出発式では、吉丸さんが「最高の夏の思い出にしましょう」とあいさつ。じりじりと照り付ける日差しを跳ね返す勢いで、舁(か)き手たちは気勢を上げた。

 当番町を先頭に、各行政区の山笠は6分おきに出発し、途中に設けられた5カ所の接待所でお茶やお酒、お菓子を取りながら、市中心部を巡った。

 「熱中症対策に一番気をつかった」と話す野口さんらは、それぞれの行政区に山笠が無事に帰り着くと安堵(あんど)の表情を見せた。コロナ以前は2日間の開催だったが、連日の猛暑を考慮して今年も1日開催とした。

 恒例の糸島高校運動部の生徒たち約120人も午前中から準備に入り、野球部やラグビー部などの生徒たちが舁き手として活躍した。野球部2年の谷口一吹さんと大庭龍之介さんは「『わっしょい』とみんなで声を出すのが楽しい」「みんなで担ぐ一体感が楽しい」と笑顔で語った。

 また、「糸高志学」の授業の一環として同校2年の生徒5人もメモを片手に参加し、祭り関係者に取材を行った。同高と西日本新聞社の連携事業の一環で、情報発信能力を高め、地域の課題に向き合う学びの場。事前に大神宮司に祭りの由来を聞いたり、同新聞社の記者からインタビューの方法を学んだりしてきた。

 初取材で緊張の面持ちの山﨑朔太郎さんは、初めて見る山笠に「大人山笠の規模に驚いた」と話し、松村隆之介さんは「こんな暑い中でも、小さな子も大人もみんな元気で圧倒された」と祭りの熱気を実感。泊拓冶さんは「神主さんや地域の人などたくさんの人が関わっていることを知れた」と祭りを通して生まれる人々のつながりに思いを寄せた。

DJポリスも登場

 7月24、25の両日は、夕方から前原名店街やイリスロード伊都などにかき氷やクレープ、から揚げなどを売る出店がずらりと並んだ。25日は名店街ステージでいとしまPR隊ラビッツなどがパフォーマンスを披露し、多くの人でにぎわった。

 昨年、多くの人が集中し前原名店街が混雑したことから、今年は“DJポリス”=写真=が出動。前原名店街の丁字路で両日とも午後6時ごろから、糸島署の署員2人が交代で「立ち止まるとたいへん危険です。右側通行で安全に心がけて、お祭りを楽しんで」などと呼びかけていた。

 

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