へいせいグループ 環境保全や食料危機へ備え
総合建設業「へいせい」のグループ会社「土の恵み農園」(楢崎利弘代表)は、糸島市飯原の中山間地などにある耕作放棄地を活用し、米作りを行っている。この取り組みは、「異常気象や災害が起きた際、社員が食料に困ることがないように」との思いから、食料危機への備えとして2014年自社所有の耕作放棄地でスタート。その後、後継者がいない水田での耕作も行い、里山の環境保全につながる地域貢献となっている。
当初は約0.6ヘクタールの水田に手植えし、「稲と雑草が区別できないくらい」の栽培技術だったが、周囲の農家からの助言を得ながら徐々に技術を磨き、できるだけ農薬の使用を控え、精米までを一貫して行う。昨年からは、市内で出る有機汚泥を利用した堆肥を使うなど、地域内での資源の循環にも配慮している。
農地の面積も拡大させ、昨年は、約3.9ヘクタールの水田で約10トンの米を収穫、グループ企業の社員に販売するなどしている。グループ企業内には、介護施設や給食事業の会社もあり、まずは30トンの収穫を目指す。
栽培面積拡大にあたっては、後継者のいない高齢農業者から農地を託されることも増えており、地域とのつながりが深まっている。
飯原地区の農区長、兼松康さんも「米づくりのための水路の整備や草刈りなど共同作業にも協力してくれており、助かっている。やぶになっていたところがまた田んぼになり、周辺へのイノシシ等の被害対策にもなっている」と話す。
10日には今年の稲刈りが行われ、楢崎さんは「今年も猛暑が続いたが、山からの清流と寒暖差のおかげで、まずまずの出来」と笑顔で語った。