彗星と可也山
夕焼けの西空に長い尾を引き、10月中旬から天文ファンを沸かせた「紫金山・アトラス彗星(すいせい)」と別れの時が来た。軌道周期は8万年といわれる。地球を遠ざかっていった後、再び向きを変え、遠い未来の地球人と邂逅(かいこう)するのだろうか。消え去っていく今だからこそ、その壮大な旅に、さらなるロマンをかき立てられる。
糸島市泊から見た可也山山頂の上空で、彗星が沈んでいく様子を撮影した。10月12日から撮影を試みたが、雲に覆われる日が多く、撮影できたのは18日になってから。曇っていた夕空が、どうにか晴れてきてくれた。
宇宙を突き進んでいく彗星。可也山の山の端に、その姿が差し掛かる時、より神秘さが増したような気がした。
(写真家・西松宏撮影)