26軒の小屋 続々オープン
一雨ごとに秋が深まり、焼きガキのシーズンがいよいよ到来した。糸島地域の漁港周辺には、カキ小屋が次々とオープンし、観光客や地元の人々でにぎわい始めた。糸島のカキは、栄養豊富な海水で育ち、ぷりぷりとした食感と濃厚なうまみが特徴。自然豊かな地ならではの海の恵みだ。
糸島地域には七つの漁港に26軒のカキ小屋が並ぶ(他販売のみは5軒)。糸島市内の昨シーズンの漁獲量は592トン、訪れた客は約53万人で、コロナ禍前の58万人に近づく回復を見せている。今年は、放送中のNHKの連続テレビ小説の舞台が糸島ということもあり、「主人公が飛び込んだ港はどこですか」とグルメとともに「聖地巡礼」を楽しむ観光客もおり「おむすび効果」の期待は膨らむ。
カキシーズンは例年10月半ばから4月ごろまで。今年は、夏の海水温が高かったため、カキの身が太るのが例年より遅れているが、寒さが厳しくなるにつれ、カキは栄養を蓄え、さらにうまみが増していく。
カキの種である種苗を仕入れるJF糸島の鹿毛俊作さんは「リスク回避のため、東北だけではなく、広島や岡山など近隣地域から種を仕入れたり、やせるのを防ぐため産卵しないよう品種改良されたカキを導入したり、従来のマガキだけでなく多様なカキの導入も進めている」と話す。
熱い網の上で新鮮なカキをトングでひっくり返しながら殻を開かせるのが、焼きガキの醍醐味。潮の香りが立ち上り、たっぷり汁を含んだ味覚を引き立てる。焼きあがったカキにレモンを絞ったり、ポン酢をかけたりするのが定番だが、バターやチーズなどを使ったアレンジも人気。カキ以外にも、サザエやホタテ、エビなど、さまざまな海の幸がそろっており、カキご飯やフライなどの各店工夫を凝らしたサイドメニュ-も豊富に並ぶ。「元旦以外はお正月も休まず営業している店もあるので、帰省した家族や友人と一緒にぜひお越しください」と鹿毛さん。シーズン終了が近い春先に、産卵を控えた旬のカキを楽しむのも狙い目だと念を押した。
(糸島新聞ホームページの「いとコレ」コーナーにグルメ情報満載)