アフリカの恵み 糸島の企業が届ける
手のひらに取った黄金色のオイルを両手で温め、肌に優しくなじませると、しっとりとした感触が広がる-。糸島市志摩芥屋を拠点とする「バオバブサンライズ」の岡田鉄太さんは、国際協力の仕事で培ったつながりを生かし、アフリカ産の樹木の種を原料にしたバオバブオイルなどの製品を販売、糸島から発信する。
バオバブはサバンナに多く自生し、数千年生き続ける大木。幹に水を蓄え、乾燥に耐えながら、短い雨季に葉を茂らせ、花を咲かせ、実を結ぶ。過酷な環境で生き抜くバオバブの種から抽出されるオイルは、高純度の脂肪酸と豊富なビタミンを含み、肌や髪に潤いを与え、皮膚を保護し健やかに保つ効果が期待されるという。
岡田さんは約25年間にわたり、アフリカを中心に国際協力の仕事に従事。最後の赴任地となった南アフリカ・マラウイ共和国では、現地の人々と共に、バオバブをはじめとした特産品の開発プロジェクトに携わった。2017年に帰国後、現地とのつながりを生かし、生産者グループから直接、低温圧搾された高品質なバオバブオイルを、適正な価格で仕入れ独自に製品化した。また、果肉を粉末にしたバオバブパウダーも、ビタミンCやポリフェノールなど栄養豊富なスーパーフードとして販売する。
同社の商品が並ぶ「いとしま応援プラザ」(糸島市志摩)で9月に行われたバオバブのお話会では、「長老より長く村を見守り、バス停や村のシンボルとなっている」など、バオバブの木が現地の人々の暮らしに深く根付いている様子を紹介しながら、商品について説明した。バオバブパウダーを砂糖と一緒に水に溶かして発酵させたドリンクは「ほどよい酸味で飲みやすい」「スポーツドリンク代わりにぴったり」と好評。また、バオバブオイルについては「しっとりと肌になじんでべたつかない」と、さまざまな場面での使いやすさが評価された。
岡田さんは「バオバブ商品を通してアフリカの生産者と先進国の消費者をつなぐ架け橋となりたい」と語り、「生産者も消費者もバオバブの事業に関わってくれている全ての人々のつながりが、平和な世の中の礎(いしずえ)になっていく」とその思いを胸に活動を続ける。