糸島が主な舞台の一つになっているNHKの連続テレビ小説「おむすび」に出演中の松平健さんと宮崎美子さんが昨年12月下旬、懐かしいロケ地に帰ってきた。松平さんは糸島市泊のグローカルホテル糸島でのクリスマスディナーショーに出演し、宮崎さんは同ホテルで開かれたイベントに出席した。糸島の人たちやファンからの「お帰りなさい」という温かい呼びかけに、満面の笑みで応えた松平さんと宮崎さん。糸島をこよなく愛する役を演じている二人にインタビューをした。
松平健さん 「味わい深い野菜知って」
-朝ドラでは、ヒロインの祖父を演じられています。自由奔放に生きている姿がとても印象的ですね。
「何をおいても、困っている人を助けるというのが根本となっている役柄。コミカルなところがあって、いままでやったことのない面白さのある人物です。演じていて、とても楽しいですよ」
-時代劇「暴れん坊将軍」のイメージとはがらりと変わりましたね。
「朝ドラに出演するのは今回が初めてなんです。実は、ホームドラマに憧れがありました。家族で食卓を囲んで、わいわいとやるシーンが見どころとなっていて、こうした日常茶飯事を通して、家族が成長していくさまを見ていただけたらと思います」
-糸島で生活している祖父役として、全国にアピールしたい糸島の魅力はありますか。
「農家の役をしていますので、やはり、糸島野菜のおいしさを知ってもらいたいですね。ドラマの食卓に登場する料理は、糸島から運んできてもらった野菜を使って作っているんです。ピーマン、ナス、トマトと、いろんな野菜の料理が出てきて、どれもしっかりした味わいがありますね」
-糸島は、豊かな自然にも恵まれています。
「畑で撮影が行われている時、雷山周辺の山並みが見渡せて、穏やかな気分になりました。雄大な風景を眺めていると、心が落ち着いてくるんです。それに、糸島は古くからの歴史を感じさせられる地ですね。ロケで滞在中、博物館を訪ねましたが、大きくて立派な銅鏡がいくつも展示されているのを見学しました。これだけ多くの鏡が掘り出されているのだから、糸島にある遺跡と卑弥呼を関連づける説が、本当なのかもしれないと、感じるようにもなりました」
-芸能生活50周年を記念した公演が18日から26日まで、博多座で開かれます。見どころをお聞かせください。
「一部は『暴れん坊将軍』の芝居で、オープニングでは白馬に乗って登場します。コメディの要素もふんだんに含まれていて、幅広い世代の人に楽しんでもらえると思います。二部は、マツケンサンバⅡをはじめとしたマツケンシリーズを中心に、歌と踊りを披露します」
-71歳になられましたが、とても若々しいですね。
「80歳を目標に、歌って踊っていけたらいいなと思っています。80歳を過ぎても元気な先輩がいっぱいいらっしゃいますから、まずは健康第一で、頑張っていきたいと思います」
宮崎美子さん 「幸せな家族がいっぱい」
-朝ドラの前半は、主役の結が神戸から糸島に帰ってきて感動的なプロポーズシーンで締めくくりました。宮崎さんは結の祖母役として帰省した結を迎えましたね。
「結が帰って来た時、おじいちゃんがとてもすてきでしたよね。古里に帰って来るのに理由なんかいらないだろうと。本当にそうです。普段は忘れていても、何かあった時、いつでも帰って来られるところがあるというのは、どれだけ心強いか。古里が大事な場所だと、あらためて皆さんに感じていただけたと思います」
-松平さんが演じるおじいちゃんは、いっぱい人助けをするけど、畑仕事はあまり得意ではないようですね。
「野菜をずっと作り続けてきたのは、おばあちゃんなんです。実際に、箱庭といってもいいぐらいですが、貸菜園で野菜作りをしています。春のロケのとき、糸島でキャベツの苗をいただいて育てました。立派なキャベツになったので、撮影現場に持っていって料理をしてもらい、ドラマでそれが出されました。みんなから『おいしい』と言っていただき、農家の人も、食べた人たちからそう言っていただけると、すごくうれしく感じるんだろうなと思いました」
-「おむすび」は、食が大きなテーマになっています。おばあちゃん役として、伝えたいことは。
「おばあちゃんは、食料事情がよくない時代に育ち、食べることが、どれだけ大切か、身に染みてきた世代の人です。とにかく、生きるためには食べないといけない。そして、食べたものは明日の自分をつくっていく。本当に食べることは大事だと。それに、おいしいものを食べたら、悲しいことがあっても忘れさせてくれる。食は人を励ましてもくれるんです。食を大切にする思いを伝えていきたいですね」
-宮崎さんは、ドラマのロケだけではなく、自身のユーチューブチャンネルの撮影で、糸島に来られています。糸島の人たちと交流して印象深いエピソードがあれば。
「ユーチューブの撮影で農家を訪ねていき、農家の家族と一緒に、新米のおむすびをいただく機会がありました。そのとき、子どもたちが『自分のおとうさんやおじいちゃんが作ったお米はおいしいんだぞ』と、自慢げに食べている表情を見て、とても幸せな家族だなと感じました。糸島には、こんな家族がいっぱいいて、あちこちで、おいしいものができている。いつまでも、この糸島らしさを残していってほしいですね」
(糸島新聞社ホームページに朝ドラ「おむすび」関連記事満載)