【ドクター古藤の園芸塾】 1
園芸用品を中心とした商品販売と植物管理相談を行なっているJA糸島の営農総合センター「アグリ」(糸島市志摩小富士)。この店でアグリマネージャーを勤めています私の元には、農産物生産者から家庭菜園の実践者などより、たくさんの質問が寄せられます。
この時期、家庭菜園で絶大的な人気野菜「タマネギ」。「うちのタマネギはすぐネギ坊主のできるとよ」「収穫後、軒下に吊るしとったら、腐ってぼとぼと落ちるとばい。なんでですかいな」。タマネギ栽培は簡単そうで、なかなかうまく収穫ができない面もあります。
問題は、ここから。タマネギには急所があるのです。球が大きく、みずみずしく、長く貯蔵ができるタマネギは根の付け根「根盤部」ががっちりしています。この部分が弱々しく生育すると病気にも弱くなり、貯蔵性も低くなります。
では、「根盤部」を強く育てるこつとは。
◎基本的ですが「生きた資材」つまり堆肥をしっかり施すことです。勢い良く根が伸長します。おすすめは糸島の剪定(せんてい)枝を細かく粉砕、長期発酵熟成させた「腐植堆肥〝糸島よか堆肥くん〟」を7キロ目安で施す。
◎タマネギはカルシウム成分を好みます。生育中に吸収しやすいカルシウム専用肥料を月に1回の割合で追肥することで、強い細胞が作られます。おすすめは「ホワイトカリウ」を100グラム目安追肥。
◎生育後半の肥大と根の強化にとって、カリウム成分は特に重要。基肥にゆっくり溶け出す「ケイ酸カリ」を80グラム施す。※上記施用量は各1坪当り。
以上の肥料を施すことで、がっちりした締まった生育が期待されます。
これから、タマネギ苗の植込みが本格化する時期、タマネギに限らず、全ての作物にとって、土作りは良好な生育の基本です。
「生きた資材」堆肥を基軸に、肥えた土を作り、環境に配慮した健康な作物を育てるのが「糸島流」。糸島産の美味しい野菜、果樹、美しい花々を一緒に育てましょう。
連載を通し、栽培に関しての情報発信とともに、皆様からのご質問、たくさんお待ちしております。
(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2022年11月18日付