教育分野も横断して対応
糸島市こども家庭センター内
妊娠・出産から子育て、教育、こどもの権利に関することまで、子どもにまつわるあらゆる相談をワンストップで受け付ける「こども・子育て総合相談窓口」が、糸島市の市民交流センター1階の「糸島市こども家庭センターいとハピ」内に開設された。児童福祉・母子保健の分野に加え、教育分野を横断して対応する、県内でも珍しい体制を整えた。

窓口には、社会福祉士の資格を持つ「こどもの権利相談員」が2人常駐し、相談を受け付ける。さらに、健康福祉センターあごらに設置していた「子育て世代包括支援センター いとハピ」の機能を移転させ、母子健康手帳交付やこんにちは赤ちゃん訪問など、保健師、助産師、保育士などが、出産期から子育て期の切れ目ない相談支援を継続する。これまで、市内には複数の相談窓口が分散しており「日頃の子育ての不安や悩みを、どこに相談すればいいか分からない」という声も多かった。「今後は、この窓口でワンストップで受け止められるようになった」と担当者。


設置の背景には、虐待やヤングケアラー、いじめなど、子どもを取り巻く社会課題の深刻さがある。国は、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を提供するため、市町村に「こども家庭センター」の設置を促してきた。市ではこの国の動きを踏まえつつ、市独自の取り組みとして、教育分野との連携も一体化した。「家庭の養育環境についてこどもや保護者を支援する中で、学校に関する悩みがあるようなケースにも、情報連携を取りながら対応していきたい」と担当者は語る。
相談の対象となる「こども」は18歳未満の人のほか、心身の発達の過程にある人も含む。相談しやすいようフリーダイヤルも設置。現在は市役所の開庁時間に合わせた対応だが、本年度中にはSNSなどを使った時間外でも受け付けられるオンライン相談も導入予定だという。
市では昨年9月、「糸島市こどもの権利条例」を制定。こどもを主体とし、こどもの権利を保障する姿勢を明文化した。条例では、「こどもにやさしいまちづくり」として、こどもとその育ちに関わる全ての人々を地域全体で支え合うことをうたっている。「子ども自身も、気軽に相談できる場所でありたい」-。窓口に立つ子どもの権利相談員は、思いを込めて話す。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)