液肥を作り夏野菜の熱中症対策
いよいよ大型連休がスタートしますね。旅行などで遠方に出かけたり、近場でおいしいものを食べに行ったりと、すごい数の人が移動するのでしょうね。私はおとなしく、農園で園芸の研究をする予定です。
さて、4月に入って、家庭菜園の方も、トマトやキュウリなどの野菜苗の植え付けがどんどん進んでいるようですね。たくさんの収穫ができるよう願っております。
ただ、年々、夏季の気温が高くなり、さらには夜温も下がらない熱帯夜傾向。私たち人間も猛暑に耐えていく必要がありますが、露地で育つ野菜たちは、もっと過酷。例えば、代表的な夏野菜で高温性であるナスでさえ、生育適温は22~30度。連日、生育適温の30度を超えるような環境になると、さすがにナスも着花が悪く、当然、実成りもよくありません。ちなみに夏に強そうなオクラでも生育適温は20~30度。
そこで、このような気候を想定して、夏野菜を熱中症から少しでも守るため、自ら液体肥料(液肥)作りに挑戦し、夏野菜を高温ストレスから守ってみませんか。100%の好結果が得られるわけではありませんが、高温乾燥で肥料が吸収しにくくなり、体力がどんどん落ちてしまう中、手作りサプリメントは、安価で簡単に栄養補給ができます。
まず、用意するものは強めのペットボトル(2リットル入り)と水、油かす、米ぬか。
【油かす液肥の作り方】
2リットルのペットボトルに油かす15グラムと米ぬか10グラムをそれぞれ入れる。水を約1.5リットル注ぐ。ペットボトルのフタを閉めて上下に振る。直射日光が当たらない、風通しの良い場所に置く。約1~2カ月間、発酵させる。発酵期間中は1週間に1回程度かき混ぜる。


※発酵ガスが発生するので、キャップは必ず緩めておくこと。
※発酵臭が強いので注意。
※完成(熟成)までおおむね2カ月かかるので、今から仕込んでもいいですね。
【完成した液肥の使い方】
上澄み液を5~10倍に薄めて使用します。使用上の注意点としては液体なので、つい葉の部分にも与えてしまいがちですが、肥料は根に与えるのが基本です。特に液肥の場合、散布した後、水分が蒸発し濃度の高い液肥だけが残留することで、葉にシミが残ってしまうこともあるため注意が必要です。
濃度の薄い液肥を回数多めにして与えることがポイントです。液肥は栄養素が高いため、元気のない植物にたっぷりと与えたくなりますが、高い濃度の液肥を一気に与えてしまうのはかえって植物を弱らせてしまうことになります。
人間も体が弱っているときに高カロリーのものを食べるとかえって負担になります。植物もそれと同じです。液肥はなるべく濃度を薄め、回数を多めに少しずつ与えるようにしましょう。
私たちが夏季に高温になると、食欲が少し落ちてくるのと同じように、作物も肥料の吸収力を落とし、根も弱ってきます。その時に役立つのが液肥。根に活力を与える意味でも、定期的に与え、作物を熱中症から守ってあげましょう。
市販の液肥は、各種ミネラル類を含み、多様な商品がありますが、夏野菜のサプリメントとして、液肥作りに挑戦してみてはいかがでしょうか!
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
=糸島新聞ホームページに地域密着情報満載
※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。
