【糸島市】大雨特別警報想定し訓練

災害対策本部運営など実施  —糸島市—

 梅雨時期を前に、糸島市は12日、災害対策本部運営訓練市庁舎の災害対策室などで実施した。数十年に一度の雨予報である大雨特別警報の発表や、大規模な浸水、土砂災害による孤立地域の発生などを初めて想定し、警戒レベル5相当の状況下での対応を確認。市職員や消防、自衛隊など約70人が参加し、災害対策本部の運営や関係機関との連携強化を図った。

刻々と変わる状況に対応するため、災害対策本部運営の流れを確認した

 訓練では、市民からの通報や気象データを基に収集した情報を分析し、災害対策本部会議で意思決定を行い、住民への避難指示など、各災害ステージに応じた迅速かつ的確な対応ができるよう、情報の共有・伝達要領や指示・命令系統などを確認した。

 想定では、梅雨前線の停滞により糸島市に大雨特別警報が発表され、瑞梅寺川が氾濫危険水位に到達。雷山川も氾濫の危険性が高まった。長糸校区で土砂災害警戒情報が警戒レベル5となり、「災害切迫」まで事態が悪化したため、月形祐二市長を本部長とする災害対策本部を立ち上げた。さらに被害の拡大に伴い、同本部を第3配備(正職員の約半数が参集)から第4配備(全正職員が集結)へ強化するとともに、波多江・東風・前原・南風・加布里・長糸・雷山・可也・引津校区に緊急安全確保を発令する必要性が高まった時点から訓練を開始。

 実際の本部会議さながらに状況が時系列で報告され、最大10人規模の行方不明者の発生や、2千世帯以上の広域孤立、複数地区での道路寸断や通行止め、市内7か所での土砂災害発生など、被害の想定も具体的に盛り込まれた。避難状況については、コミュニティセンターなどに200世帯以上が避難、小中学校も休校となるなど、緊迫感の中で訓練が進められた。

 気象情報や市民などからの通報により情報を収集・把握し、共有した上で方針を協議。「迅速な意思決定と的確な対策を講ずることができるか」「各対策部や運営室が警戒レベルの上昇や切迫した被害状況に適切に対応し続けられるか」の2点をポイントに、職員は電話対応班、気象情報を集める情報収集班、現地活動の状況把握と調整を行う活動調整班、被害状況や現地での活動状況をとりまとめる情報整理班、避難指示などを市民に伝える情報伝達班、被害情報に応じた災害対策などについて本部長の意思決定を補佐する総括班の6つの運営班に分かれ、刻々と変化する災害の状況に対応した。

 第1回災害対策本部会議では、対象地域に避難指示や指定避難場所に安全に避難できない場合、その場で身の安全を守る緊急安全確保などの避難情報を発令するとともに、県に対し、警察や消防の応援、自衛隊への災害派遣を要請。月形市長が「市民の人命救助を第一とした対応を行うこと」と指示。

 第2回災害対策本部会議では、本部長指示に基づき、各対策部から公共施設や学校などの被害状況やインフラなどの復旧作業の対応状況などを本部長である月形市長に報告。訓練を終了した。

 訓練終了後、月形市長は「我々の使命である『市民の生命と財産を守る』ため、いざという時には、訓練で行った基本的な災害対応業務を行えるよう、常に危機感を持って日常の業務にあたるように」と訓示した。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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