気持ちよく目覚められる季節になった。時計のアラームに頼らなくても、障子を通して入ってくる外光の明るさで、深い眠りから抜けることができる。早い日の出は、個人的には、生体のリズムにちょうど合っている。若い頃は、空が白み始めると寝床から起き、軽やかな気分で早朝に一仕事済ませていたほど。それほど活動的になれる時期だ▼生体のリズムを調節しているのは体内時計。肺や胃、肝臓など体のいたるところにあり、リズムを刻んでいるとされる。それがバラバラなリズムとならないよう、脳の中に体内時計の指揮を執っている神経細胞がある。朝の光を浴びると、この神経細胞に光の情報が伝わり、体温を上げるホルモンなどの分泌を促し、体の動きが活発になるという▼ちゃんと光を浴びておくために、起床後はまず庭へ出ることにしている。この時期、日光浴とともに、もう一つ楽しみにしていることがある。鳥のさえずりを聞くことだ。自宅は新興住宅地にありながら山際に近く、さまざまな種類の鳥の澄んだ鳴き声が四方八方から聞こえてくる。「ドーン(夜明け)コーラス」と呼ばれ、春から初夏にかけて早朝に響き渡る大合唱だ▼「ほととぎす平安城を筋違に」。江戸時代中期に与謝蕪村が詠んだ俳句。碁盤の目のようになった平安京の空を、ホトトギスが斜めに飛んでいく光景は、現代の新興住宅地でも見られる。屋根から屋根に飛び移っていく小鳥、低空で家々の間を抜けていくツバメ、空高く遠くを目指して羽ばたいていく群れも▼あまりの鳥の多さに心を奪われていると、近くの電柱の上で「カチ、カチ」と、カササギの甲高い鳴き声。風流とは言い難いが、コーラスにアクセントを加えてくれて、感謝しよう。そして、また、新たな鳴き声がコーラスに混じってきた。振り返ると、窓の内側から、わが家の飼い猫たちがこちらをじっと見つめている。わが家の猫たちの体内時計も、この時間帯はどうも覚醒のリズムとなっているようだ。「すぐにエサの用意をするからね」。さあ、最高の気分で一緒に朝食だ。
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