長雨のとき生かせる栽培の知識
気象庁は6月27日、西日本の各地域で梅雨明けしたとみられると発表しました。このまま確定すると、九州北部では観測史上最も早い梅雨明けとなるそうです。
梅雨の時期が終わったとはいえ、いずれ秋雨前線による長雨の季節もやってきます。そこで、今回は日照不足に加え、高温多湿、土壌過湿の中、プランターでトマトやナスをどう栽培したらいいのかアドバイスさせていただきます。
次回は梅雨明け後の野菜管理をご紹介しますね。
◎不意な追肥は厳禁
「長雨が続いたから追肥を与えて元気をつけちゃろう」。これは逆効果になる可能性大です。日照量が少なく、高湿度では、根から葉への養水分の移動は滞っています。よって、根も傷みがち。そこへ、追肥(化学肥料などは高濃度)を与えてしまうと、根がアップアップとなり、長雨が明けてからの生育活性を逆に遅らせてしまう可能性があります。
ここは、そっと生育を観察し、もし肥料を与えるならば、サプリメント替わりに市販の液体肥料を、1000倍希釈など薄めにした状態で、土が乾いていたら与えてみるのも良いでしょう。

◎なるべく水分を遮断
降雨を避けるため、プランターを軒下などに置いていると思います。そこで、大量の降雨による余分な水分を遮断するための裏技。
プランターの上部にアルミホイルで被覆します。余分な降雨は通さず、キラキラ反射光で、少ない明りを下部から獲得。さらにその反射光が葉裏を好むハダニやアブラムシなどの害虫忌避効果が得られます。ぜひおすすめな裏技です。ただし、強風などで飛散しないようしっかり養生してください。

◎摘葉
繁り込んだ茎葉は、通気性を悪くしていきます。そこで、軽めに葉の除去(摘葉)を行い、株全体に風が行き通るようにすることで、カビなどの病害予防となります。
ただし、あくまでも軽めの摘葉に心掛けてください。少しでも日照を求め、茎葉を維持していますので、たくさんの葉を取ってしまうと、逆に体力を弱めてしまいます。それと、茎葉からの病害侵入予防のため、摘葉は降雨がなく、なるべく天気が良い日を選んでください。


四季のある日本で、梅雨は避けることはできませんが、人も植物もどうにか順応していきます。問題は梅雨明け後の急転した高温乾燥。急激な環境変化は回復どころか、ダメージにもなりかねません。梅雨明け後の野菜管理はとても大切なこととなります。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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